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第1章
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「ずっと、あなたのことが好きでした。
わたしと付き合ってください!!」
人気のない階段の踊り場で、女の子が頭を下げている。
七瀬 智紀は、
踊り場の窓からは差し込む日差しと、目の前の少女を眩しい思いで見つめながら、
穏やかな声で、お決まりの言葉を口にした。
「…ありがとう。君の気持ちは嬉しいよ、
でもおれは、今誰かと付き合うつもりは無いんだ。ごめん。」
すると、女の子は頭を上げ、少し、潤んだ目で
七瀬を見て笑った。
「そ、そうよね。
…断られるだろう、とは思ってたの。
だけど、聞いてもらえてよかった!
ありがとう。」
女の子はもう一度、頭を下げて、その場から走り去って行った。
七瀬はその姿を目で追いながら、深いため息を吐いた。
もう、何度目だろう。最近ため息の数が多くなっている。
以前は告白してくる子がいても、
さして、心も動かず、冷静に断る事が出来た。
自分は、常に清く正しく生きて、正しい道を歩む。
その中で、いずれ、思いを同じくする女性に出会えたら。その時に恋愛というものが出来れば良い。
その為にも、学生時代は、勉学にひたすら励めば良い。
そう思っていた。
いや、今でもその考えは変わらないはずだ。
ーーーしかし…。
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