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第4章 side 御船
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七瀬の身体が、痙攣を起こしながら
御船の下で溶けてゆく。
御船はその様子をしっかり観察しながら、
七瀬から口を離した。
荒い息継ぎを繰り返し、涙目で御船を睨んでくる。
ーーー馬鹿、逆効果だっつうの。
御船が七瀬の頰に触れようとした瞬間、バシッと手を振り払われる。
…まだそんな力が残っていたとは。
御船は苦笑しながら、血の味のする舌を転がした。
「お前…、どういうつもりだよ…。」
「あんまりお前が泣くからだ。」
「泣いてる相手なら、誰でもこういう事するのかよ…!」
「お前だけだ。」
嘘だ、と七瀬はまた眉を寄せて目をつむる。
無理もない反応だ。今までの事を考えれば、
信じられないのは当然だろう。
しかし、必死に唇を噛み、嗚咽をこらえている姿を見ると、どうしても、もっと溶けるまで追い詰めたくなってしまう。
七瀬の耳にそっと、口を寄せる。
「七瀬…、好きだよ。」
「やめ…。」
「…学校で肩肘張ってるお前も。」
「やめろ…」
「俺の下で泣いてるお前も…。」
「…いやだ…っ!」
「閉じ込めたくなるくらいかわいいよ。」
「あ、あっ…。」
七瀬が泣きながら首を振る。
さっき着替えさせたTシャツからのぞく首をかぷりと噛む。
七瀬の身体がピクリと跳ねる。
そのまま強く噛みつき、痕を残した。
ちゅ、ちゅ、と鎖骨や首にキスを落としてゆき、
その身体をもう一度、強く抱きしめる。
嗚咽まじりに弱々しい声が聞こえてくる。
「…お、んなと、構わず、イチャイチャしてたくせに…。」
「あしらってただけだ。」
「おれの前で…っ、キスまで、してたくせにっ!」
「妬いてくれるのか?」
最低だ、と七瀬の足が布団の中から、御船の足を蹴る。
そんな仕草すら、どうしようもなく可愛く思えてもっと苛めたくなる。
しかし、
衝動を抑え、一番、
今言わなくてはならない事を伝える為、
御船はゆっくり七瀬から身体を離し、さらりと髪を撫でた。
「お前はそのままでいい。」
「………。」
「誰がなんと言おうと、どんな評価を下そうと、
お前はそのままで充分、強くて綺麗だ。」
睨んでいた七瀬の目が見開かれ、
溜まっていた涙が頬を伝う。
ーーー良い目だ。
そうやって、俺だけを見て、俺のことだけで頭をいっぱいにしておけば良い。
他なんか、気にならなくなるくらい。
過去の記憶なんか、消し飛ぶくらいーーー。
御船は微笑んで、もう一度、今度は優しく七瀬の唇にキスを落とす。
ーーー今更邪魔なんてさせるか。
"とうさん"だか、業田さんだか知らないが、
コイツはもう俺のものだ。
横槍なんか許さない。傷つけるのも許さない。
絶対、これ以上コイツの心は渡さない。
「ーーー好きだよ、智紀。」
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