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お風呂
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何となく億劫で電気を付けないまま、チェストの前にしゃがみ込む。
バスタオルやら下着やらを引っ張り出していると、
『なおちゃん。』
思わず引っ張り出したバスタオルを胸に抱え、硬直してしまう。
『なおちゃん、お返事は?』
やばい。
何かしたっけ。
「はい………。
どうしました?」
普段と違うこの呼び方は、要注意だ。
振り返ると、紬さんが部屋の入り口にもたれ掛かって顔を覗かせている。
作った笑顔が引き攣っているのが自分でもわかる。
『お風呂入るの?』
?
何だろう。
怒っている様子ではないみたいだ。
「入ろうかなって思ってますけど。」
部屋の中へ入り、ゆっくりと近づいてくる。
片膝を着き、目線を合わせて見つめられると、体を引いて身構えてしまう。
『一緒に入る?』
「え?あ、あの………えっと…………。」
一度視線を逃がすと、キョロキョロと彷徨い、更に焦りを加速させる。
「先に入りますか?」
困惑と、混乱と、動揺で、明らかに噛み合わない返答をしてしまった。
頭に右手が添えられ、髪をキュッと掴まれる。
僅かに顔の距離が近くなった気がする。
『なおちゃん。』
痛みは無いが、髪を掴む手から、逃げられない圧を感じる。
『俺の言ってること、わかってるよね?』
首を傾げながら問われるが、可愛さなど微塵もない。
「あの………、お風呂は、一人で、ゆっくり、入りたい…………かな。」
許してくれるかな。
伺うように見上げてみる。
髪を掴んでいた手は解かれ、僅かに緊張が緩む。
しかし、そのままその手は頬を下り、親指が唇や顎をゆっくりと撫でる。
『恥ずかしいの?』
嘲笑するように微笑まれ、背筋に電気が走る。
「いやっ、そういうわけじゃ…………。」
ないわけじゃない。
恥ずかしいのかどうかはよくわからない。
だけど、広くはない浴室に、二人で裸でいると思うと、意識しない訳がないと思う。
落ち着かないはずだ。
『嫌なの?』
「あのっ、狭い……ですし…………。」
目を合わせて会話することができない。
『たまには、いいじゃん?
男同士の裸の付き合いみたいなのも。』
添えられていた指で顎を持ち上げられる。
それでも、目を合わせることができず、右に左に彷徨わせる。
「裸の付き合いならいつもしてるんじゃ………。」
クスッと紬さんが笑ったのがわかった。
『なんだ。
いつも通りの裸の付き合いがしたかったの?』
「違っ!そういうことじゃ………!」
思わず紬さんを見上げると、意地悪な笑みに囚われる。
『どっちにする?』
いつの間にか一方的に2択の選択肢に絞られていたことにも気づく余裕もないまま。
「…………………お風呂に、入ります。」
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