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書斎に現れたフィオリはそのまま書斎の椅子に座った。
入浴したため髪がしっとりと濡れているが、彼に気にした様子はなく、机の上の書類を真剣に読んでいる。
するとアーサーがちょうど部屋に入ってきた。そのままフィオリの元へ駆け寄る。
「兄様、こちらがたった今届いた書類です。民の同意を得ることができました」
アーサーが声をかけると、フィオリは顔を上げた。
「そうか、良し。では、早速開催するための準備だ」
「はい」
「まずは公表し、募る者を集めようか。張り紙を頼む。
内容は開催日、集合場所、持ち物だ。それと、参加者はこちらに参加書を提出するように、と書いてくれ。
あと、手紙の類はII類で、王都前に届けるように。とも。
貼り終えた後は試験会場を整え、書斎に戻ってこい」
書類に目を通しながら嬉しそうに会話する2人。
半年前から計画していたものがもう少しで現実になるからか、声色は弾んでいる。
「はい、では行って参りますね。それと、お姫さまとチビたちはどこですか?撫でたかったのですが…」
「…あとで連れてくるつもりだ。その頃にはお前も書斎に戻ってきているだろう。さ、行ってこい」
「はい」
アーサーが退室し、ここにはフィオリ1人だ。
フィオリは椅子の背もたれにもたれ、天井を仰ぐ。
…お姫さまとチビたちはどこですか、だと。本来は我の腕の中だと言いたかった。
「チッ」
思わず舌打ちをしてしまったが、それを咎めるものがここには居ない。それを良いことにフィオリはガシガシと頭をかいた後、魔法で髪を乾かした。レミルがいたら確実に怒られているだろう。
そもそも、入浴中までは…よかったのだ。その後にサランの機嫌を損ねしてしまった。
そう、それは数十分前のことだ。
*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「そろそろ上がるか」
「はい、体がぽかぽかになってきましたし、子どもたちも目を瞑ってしまいましたもの」
風呂から上がろうとした頃。
いつもは白いサランの肌や頰が桃色に染まった頃。
にこにこと微笑みながらこちらを見上げてくる姿は変わらず愛らしい。
そんな姿に満足した我は、そのままサランを横抱きにして脱衣所まで行った。そこにはレミルが準備したであろう着替えがあった。
床にサランを下ろし、大きなタオルで包んでやると
自分からではなく、子どもたちの体を拭き始めた。
我も手伝おう、そう思って1匹をタオルで包み、体を乾かしてやる。そして、布の入った籠に2匹を入れればそこを寝床にして2匹は丸まった。
ああ。ここまでもよかったな。
サランが我も手伝ったことによって喜んだのだから。
問題はここからだ。
そのあと、早く体を拭き終えた我が下着と衣服を身に付け終え、サランを見ると、なにやら困っていた。
だからまた手伝ってやろうと思い、サランに下着を履かせた。なぜなら、
「王様、下着のつけ方がわかりません…あの、この、用意されている服も…ソアとは違って…
いつも、お手伝いさんがやってくださっていたので。
申し訳ありません、教えてください」
と、なにに困っているのかをサランが教えてくれたためだ。手伝うしかないだろう。
…しかし、我は説明とともにサランに下着を履かせた。
言っても伝わらないと思ったからだ。実際、複雑なものであるとわかっている。
その時にサランは顔を真っ赤にさせていた。
ここでようやく何か我はしたのか…と気づいたという訳だ。
「お、王様っ…恥ずかしいですっ!」
下着をつけ終わったあと、サランは下着と足を隠すように手で覆った。
「なんだ?不満があったのか?」
「っ、あのっ、…その」
勇気を振り絞ったサランが言うにはこうだ。
自分の性器の近くに我の顔があったことも、裸を見られたことも、当たり前のように肌に触れたことも、全て恥ずかしかったと。
これを聞いた時は
「なんだ、恥ずかしかっただけか」と、思った。もう肌を合わせたこともあるし今更だろう。それに、今は衣服の着脱の説明しかしていない。性的な要素は含んでいなかったからな。と。
そう思うと同時に、やはりサランは愛らしいなとただ思っていたのだが…
「王様が、とても優しくしてくださることは十分理解しております…でも、わたしには、まだ慣れなくて…
王様に触れられることも、緊張してしまうのです…」
なんだと。
サランが、我を拒絶している?
この時我は動きを止めてしまった。
「王様が、わたしに優しくしてくださることは、
とても嬉しいです、ただ…まだ慣れていないだけなのです、嫌なのではありませんっ」
「…サランは、我が触れると怖いのか?」
「…いいえ、怖くはないです。あたたかくて、好きです。
…触れていただけて嬉しいです」
「我はサランに触れたい。しかし、サランはこれが慣れないのだろう?では、我はどうしたらいい」
「少しの間…だけ、待ってほしいです…」
わがままでごめんなさい、と。涙目で謝罪するサランにどうしたら良いかわからない。抱き寄せて焦ることはないぞと声をかけたかったが触れれない。
そんな困った時に現れたのはレミルだった。脱衣所の向こうから声をかけてきた。
「フィオリ様、サラン様、お湯加減はどうですか?」
「…もう上がった。よかった」
「あっ、そうなのですね。ではお先に書斎に失礼します」
「おい、レミル。待て。こちらに来い」
サランに新しく柔らかなタオルをかけてやり、レミルを招いた。
「サランと子どもたちを部屋に頼む。我は庶務を進めてくる。……簡単に着脱できる衣服をサランに与えてくれ。サランが落ち着いたようであれば、書斎へ」
「はぁ…ん?……ああ、はい。了解です。
では、サラン様行きましょう」
「っ、はい…」
レミルはサランの表情を見て粗方事情を理解した。
王がサランを悲しませたと。それか困らせたのだと。
まあ、王の方は反省…というか落ち込んでいるようだし咎めようとは思わないが。
そう考えながらレミルはその場を後にした。
そんなレミルの同情の眼差しに気づいたフィオリは寂しく書斎に戻った。
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