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あれから数日。
サランはさっそく業務に就き、働いていた。
…訳ではなく
今は子どもたちと過ごしている日々だった。
それは、あの書斎で、やる気に満ち溢れているサランにかかった一言から始まった。
「まずは、サラン。子どもたちを存分に甘やかしてくれないか?」
「えっ?」
「…我も、弟のアーサーも、母親は共に早くして亡くした。だから、子どもの育て方がわからんのだ。
レミルも、母親がいなかったみたいだしな。
ああ、そんな悲しい顔をするな。我にはレミルが親として育ててくれたようなものだからな。寂しくなどなかった。
それに、獣族には…
いや、我らのような存在は、親がいなくとも生存できるように栄養豊富で産まれる。そのためもあってか、親に甘える必要がなかった。最初から自立していたからな」
「そうなの、ですか…」
「ああ、だが、ティラシュアとエルディオを見ているとこの話を疑ってしまうのは無理もない。あの子たちはとても甘えん坊だからな」
「王様、わたしは子どもたちの子育てに同じく不安はありますが、精一杯愛情を注げたらな、と思います…
ただ…わたしは、他にお役に立てることはないでしょうか?今、王様、アーサー様、レミルさんの3人でお仕事をなさっているのですよね?
…お疲れにはなりませんか?」
「気遣いありがとう。3人はやはり少ないが、あと少し頑張るつもりだ。
そこでサラン、子どもの世話と共にやってほしいことがある。それは、ハーシュッドの古代語を覚えることだ。
サランは独学でよく習得している。
しかし、
これから政治に関わっていくためには共通語以外で必要になる言葉が違うため必要だ。
そしてもう一つ、手紙をこの書類に書かれている者全てに宛てて欲しい。
書きかたや手紙の文章構成はサランと我で考えよう。
内容は、ハーシュッド国 パーティーへの招待だ。
この意味がわかるか?サランと子どもとアーサーのお披露目といっても過言ではない。世界中の権力者もしくは我の旧友、サランの家族も集まる。2度目の結婚式のようなものだ。良いか?」
「…はっ、はい…」
サランはまたもやばくばくと音を立てた胸を手で押さえて歓喜するほかなかった。
(今は、言葉を覚えて、子どもたちと共に成長する…
それが、1番なのですね…それに、それに…あぁ、パーティー?…2度目の…夢のような…幸せ、です)
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