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「2人ともごめんなさい。わたしが強く怒鳴ってしまって驚かせたでしょう?許してくれますか」
庭に再び戻ったサランは庭師の背に隠れる子どもに声をかける。2匹は慌てたように母親の腕の中に収まった。どうやら子どもたちも母親に赦しを乞いたかったようだ。
抱き合う姿を見つめ微笑む父親の姿がそこにはあった。
サランと共に庭へ来ていたのだ。
「庭で日向ぼっこ…?ふふっ、兄様もお姫さまもチビたちも、幸せそう。なんだか俺も嬉しくなっちゃうな」
アーサーは2階の廊下からその微笑ましい光景を見ていた。
何やらチビたちが怯えた声をしていると思って窓に駆け寄ったが、親子喧嘩のような、小さなわだかまりがあっただけらしい。
「アーサー様。どうかされましたか?」
「あっ、レミル!来て来て!
ほら、窓からみんなが見えるんだよ」
窓際に立っていると書類を持ったレミルが書斎から出てきた。
「ああ、本当ですね、ふふ」
幸せはどうやら人に伝染するらしい。レミルもアーサーもそう思った。フィオリたちをみているだけでこちらも微笑んでしまうのだ。
多忙なことなど忘れて。
「って、そうでした。のほほんとしている場合ではありませんよ。アーサー様。次はサラン様、御子様ならびにアーサー様の獣族集会への準備をしなくては」
「あっ、そうか!お姫さまが目覚めたらすぐにやるって
ソア国にも伝えていたもんね。って…レミル、
お姫さまにとっては結婚式なんだよ!
もっと華やかな名前に変えなくちゃ」
アーサーは集会のネーミングセンスのなさに慌てる。
そこを指摘されてレミルも焦る。
「そ、それもそうですね…
素敵なパーティー名にしないと」
「料理は料理長たちに任せるとして、装飾や音楽とかどうしよう。今までは他の家臣に任せてたから覚えてないよ」
「えぇ、そうですね。……それと…、あの大広間。結婚式には向いていない形状じゃなかったですか??」
今まで代々王が食事や謁見の間として使用して来たスペース。しかし高台から人を見下ろしすぎている上にサランが入国して間もない頃、家臣に罵声を浴びさせられた嫌な思い出のあるかもやしれぬ場所でもある。それに壁一面にガラス戸があり、バルコニーに出れば城外の民の祝福は受けられるが…そのガラス戸は高さ2mほど。対して大広間の壁は10m。あまり日光が入らない、暗めの部屋。
「た、たしかに…あそこはみんなで楽しく踊って食べて…っていうイメージができないね」
「…この城内…そもそも、どの部屋も使えないのでは?」
「えっ?」
「ほら、思い出してみてくださいアーサー様。ここ半年前までは何百年も家臣が住んでいたんですよ。私たちと一緒に。
大広間以外だとほとんど個室だらけではないですか?
今食事室として使っている部屋もそこまで広くはないですし、パーティーの参加者皆さんは入りきれなさそうだな、と思いましたが…」
「…えっと…今みたいにパーティー会場が必要になったことって過去に無いの?」
「ありませんでしたね。…人が集まることが嫌いなあなたのお父上ですからね、主催者は」
「うん、パーティー会場なんてあるはずないね」
「ええ、困りましたね」
「…っていうことは」
「まあ、新しい家臣を未来に招くためにも、損はないと思いますが…」
「やっぱりやらなきゃだよね?」
「ええ。フィオリ様にも意見を聞いてからですけど」
「お姫さまのためなら許可してくれそうだけどね」
「「城内再構築」」
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