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「まあ、どうぞ入ってサラン」
「お疲れだったね、サラン。今日はとても綺麗だったよ」
フィオリに部屋の前まで連れて行ってもらい、両親の部屋に入るサラン。話したいことがたくさんあった。
「あらあ、眠っている姿も可愛い。よく無事で産みましたね、偉いです」
「こんなに可愛い孫は初めてだ。よく頑張ったねサラン」
「はい。うふふっ」
2人の間に座り、膝に置いてある籠の中を覗く。
「ハーシュッド国のように、魔法が使える国の子どもは見た目も違うんだね」
「特別、な子なのかもしれないですね」
両親は2匹を撫でてにこにこ微笑む。
「はい、とても可愛らしいのです」
「それに、とても良い名前をつけたね。サランが名付けたのだとすぐにわかったわ」
「剣舞と聖歌…そこからとったから、ティラシュアとエルディオにしたのだろう?」
「はいっ、はいっ」
ソア国ならではの発想に共感した両親につられ
サランも嬉しくなってベッドの上で跳ね気味に応える。
「優しくい子になってほしくて名付けました」
「今起きている子が…エルディオだね」
「きっと優しい子に育つわ」
なでなで、と優しい祖父母に撫でられたエルディオは不思議そうに首を傾げる。母親がにこにこしているので触らせてはいるが、誰なのかわかっていないようだ。
それからというもの、話が盛り上がって尽きることがなかったため、かなり長居してしまったようだ。
「あら、日をまたぐ頃よ。早くお戻り」
「また明日会おうね。おやすみサラン」
「はい、おやすみなさいお父様、お母様…」
サランが籠をそっと持ち上げ腰を上げた時だった。
ドンドン、と扉が叩かれる音がしたのは。
「どなたでしょう」
戸を叩く音は一向に止まず、むしろ激しくなっている。ガチャガチャと鍵を回す音まで聞こえ、不安になる。
「2人とも下がっていなさい。私が出よう」
「あなた、ここは何もしない方がいいのでは?」
「お父様、開けてはいけません、怖いです」
「しかし、…」
ガチャ…
「ここだ、やっと見つけた。初めまして。あなた方には是非とも我が国との交友関係を築いていただきたく存じましてね」
薄暗がりの中、茶髪の、背の高い男がいきなり掴むように手を伸ばしてきた。
「っ!!」
ソア国王は妻を庇うように前に立ち、男の手をを掴む。しかし体格差で不利な状況は変わらない。
「何事だ!」
廊下の遠くからはフィオリの声が聞こえた。
サランはこれで大丈夫だと安堵した…しかしその隙を突かれ、片方の手をサランに伸ばしてきたではないか。
「っ!」
籠を抱えていたせいで抵抗できず、髪を掴み上げられる。「キャウ!?」「ガウ!」
子どもたちも床に落下した。
(わたしの大切な家族に、なんてことを…!)
サランは相手を睨みつける。
「はっ、なんだあその面は…っ!?」
サランなど小国の弱者に過ぎないと高を括っていたのだろう。それが仇となったようだ。
「…サラン?」
部屋に入ってきたフィオリの目が見開かれる。
男の喉元を鋭く狙った手刀は相手をよろけさせ、その追い討ちをかけるように懐に潜り込んだまま腹部への膝蹴り。そのまま倒れた相手の腹部一点めがけて乗り上げるサランの姿。
「ぐえっ!!」
首に添える手刀はそのままに。
「わたしの家族に手を出さないでください」
普段とは想像できない軽やかな武術。恥をかかされたことに強く怒りを表す男。
「くそ、小娘が…」
サランの顔面に握り拳を打った。
「キャア!」
「サラン!危ない!!」
その腕を掴み阻止したのは…
「キャウ」
「フィオリ様…?」
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