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父さんが亡くなってからあと2ヶ月経つと3年の月日が経つ、僕は未だに父さんの死を引きずりながらも、以前と変わらない日常を過ごしていた。
「ただいま…」
「お帰りなさい…」
学校から帰って来ると母さんが僕を出迎えた。父さんが亡くなってから僕を女でひとつで育ててくれた母さん。僕を育てるために毎日夜遅くまで働いている。少し身体大丈夫なの不安になる時がある。
「今日は早いね」
「えぇ…ちょっと陽に話したいことがあって」
改まって何だろう?僕は母さんの態度に違和感を感じながらかばんを自分の部屋に置いた。今日は自分で晩ごはんを準備したいと母さんが言ってたので僕は防音室でヴァイオリンの練習に勤しむ。
「ここのいたのね?陽?」
母さんは防音室でヴァイオリンを弾いている僕を見て穏やかに笑う。
「……相変わらずヴァイオリンが好きなのね」
「………ヴァイオリンは僕の人生そのものだから」
僕はヴァイオリンを楽器ケースにしまい、リビングに向かう。母さんは僕の好きなビーフシチューを作ってくれた。
「母さん……話したいことってなに?」
「実は…」
母さんは僕から顔を逸らし、頬を赤らめる。
「……実はその、今…お付き合いしている人がいてその人と結婚しようと思っているの」
母さんの突然の告白に思わずスプーンを落としそうになる。仕事で忙しい母さんにそんな人がいるとは微塵も思ってなかった。
「仕事が大変な時に色々支えてくれた人で…その半年前からお付き合いしてたんだけど」
僕は顔を赤らめ、ぼそぼそと再婚相手の馴れ初めを語る母を微笑ましく見守る。
「おめでとう、母さん」
再婚相手の馴れ初めを聞き終えると僕は母さんに祝福の言葉を送った。母さんは僕の言葉に目を瞠って驚く。
「……私が言うのもなんだけど…良いの?」
「うん、良いよ」
僕がすんなり認めたことに驚きを隠せない母さん。僕は無理もないと苦笑する。母さんは自他認めるファザコンの僕が再婚を認めるとは夢にも思ってなかっただろう。正直に言えば再婚を素直に祝えるか?聞かれればそれはNOだけど、父さんが亡くなってから母さんの負担が増していることを知っていた僕は新しい父親を受け入れようと思った。
「良く来たね…陽くん」
「これからお世話になります」
母さんの再婚相手の荒川 達紀(アラカワ タツキ)さんは有名なヴァイオリニストでこれから僕の義父となる方だ。母さんと達紀さんの結婚はとんとん拍子で決まり、僕と母さんは達紀さんの家で暮らすことになった。春休みに引っ越しの準備と転校の手続きを済ませ、達紀さんの家に引っ越した。
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