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便利屋と熊【8】
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「…んぅ…?」
あったかい感じの中で目を覚ます。服は来てねぇけど毛布がかけられてて、ゆっくりと体を起こす。
えっと…めちゃくちゃイってたことは覚えてんだけど…その後の記憶がちょっとねぇんだよな…。トんでたんだろうけど、やっぱ情けねぇ…。
そんなことをぼーっと考えてると、ようやく頭が覚醒してきた。
「…えりっく…」
もぞもぞ毛布を引っ張りながら、エリックの姿を探す。
「あ…」
部屋から続くちょっとしたベランダで、エリックは煙草を吸っていた。もうすっかり日は落ちていて、辺りは真っ暗だ。
「…エリック」
「お、獏。起きたか。体は大丈夫か?」
あ〜…。煙草の煙を吐きながら笑うのってちょっと反則だろうが…。
「舐めんなよ。……ちょっと腰が痛てぇぐらいだ」
「…悪いことしたな…」
「んな訳ねぇだろ!俺はそういう感じになっていいように準備してた訳だし?エリックが乗り気の方がこっちも都合が良かったし?…」
それに…と言いかけて、俺は思わず黙った。ふと、ビリーが言ってた、熊っていうのを思い出す。同時に、ビリーの腕を褒めるあの笑顔も。
俺は、ベランダの柵にもたれ掛かるエリックに毛布ごと抱きついた。
「うお?!どうした、獏?」
「今日、あんたが相当鈍感だってことが分かった」
「え?」
「ビリーにあんなキラキラした笑顔向けっから、俺はかなり嫉妬したんだぞ。俺だってすごいのに」
「……」
「エリックの鈍感野郎。ばーかばーか」
抱きつきながらぐりぐり頭を擦り付けてやる。
エリックは困ったようにわたわたしてる。
熊ってなんか普段はのそのそしてる感じだけど、力も強いしでっかいし。その気になれば大抵のものは一捻りだ。
「それは…俺が悪かった。ごめん」
いい歳したおっさんがしょげてやがる。俺は何だか得意げになった。エリックより優位になった気がする。
「…でも、嫉妬してくれて嬉しいよ。
これは俺の勝手なわがままだが…獏は…鈍感な俺に嫉妬させるようなこと、するなよ?」
ぐいっと顔を近づけられて、耳元で低く囁かれた。
……ほらな。俺がやっと手に入れたと思った優位性なんか、やっぱり一捻りだ。
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