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黒の一族 4
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僕がいた部屋を出て、廊下を進んだ突き当たりにある部屋に、トウヤさんの後に続いて入る。中は、かなりの広さのリビングダイニングだった。
八人は座れそうな大きなテーブルには、すでに料理が並べられている。
眼鏡をかけた綺麗な顔の、ロウくらいの年齢の男の人が、僕に席に着くように促した。
「どうぞ、こちらに…」
「…あ、はい」
「ルカ、彼は俺に仕えるダンだ。これからは、おまえの世話もする。何か用事がある時は、ダンに命令するといい」
「わかりました。よろしくお願いします…」
僕の向かい側に座りながら、トウヤさんが笑って言う。
「そんなに畏まらなくていい。普通に話せ。ダンも世話をし辛くなる。それに、俺にも敬語は使わなくていい。堅苦しいのは嫌いだ」
「はぁ…、…つ…ぅ」
「どうした?」
またズキンと痛んだ頭に、顔をしかめて手を当てる。
ダンが、僕の目の前に、錠剤のシートと水が入ったコップを置いた。
「これをお飲み下さい。主、ルカ様は、昨夜嗅がせた薬の影響で、頭痛がするのだと思います。もうしばらく休ませた方がよろしいのでは」
「あれは、即効性はあるが、そんなに強い薬ではないだろう?ふむ…、ルカは他の人狼とは違うからな、薬の効き方も違うのかもしれないな。どうする?部屋に戻るか?」
「…いえ、薬をもらったし大丈夫…です」
錠剤を二つ、シートから出して水で飲み込む。まだズキズキとこめかみの血管が脈打ってるけど、すぐに治まってくるだろう。
僕は、小さく息を吐いて、一番気に掛かっていることを尋ねた。
「あの…、僕が変身出来ない人狼とわかってて、なぜ連れて来た…の?僕は、何の力もないし…、役にも立てない…」
「おまえは、そのことをずっと負い目に生きて来たんだな…。でも俺は、そんなおまえが必要なのだ。それだけははっきりと覚えておいてくれ。さあ、先ずは飯だ。ダンの作る料理は美味いぞ。遠慮なく食え」
「…いただきます」
目の前で湯気を立てているカップを手に取って、スープを一口飲む。甘いコーンの味が口の中に広がって、僕はホッと肩の力を抜いた。
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