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第二話 この社会の成り立ち
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この世の中は人間を3分割する区切りがある。
「力を持つもの」である「α」性。彼らは総人口の約10%しかいない。生まれながらにしてエリートかつリーダー的能力を持っており、大企業の社長や政治家の多くはαである。また、αは女性男性関係なく妊娠させることができる。容姿端麗な人が多いのも事実だ。
「大半」の人間は「β」性とよばれるものであり、一般的である。βは女性のみが子どもを孕むことができる。その身体的特徴や能力は平凡なものであることが多く、本人の努力次第な部分が大きい。
そして、「弱きもの」として存在するのが「Ω」性である。彼らはαよりもさらに少なく、総人口の2%にも満たない。日常的な生活においては何ら違いを見せないが、「ヒート(発情期)」を定期的に引き起こす。ヒートは約3か月に1度、1週間程度αやβを誘惑するフェロモンを出す。本人も欲情してしまうため、ヒート期間には抑制剤服用と自宅での謹慎が義務付けられている。このヒートのため「弱きもの」とされている。
αとΩは性交中に、αがΩの項を噛むことによって番になることができる。番になることでΩのホルモンは安定し、ヒートが来ても番以外の人にはフェロモンが無効となる。
この、α、β、Ωの三つの性は、時代をさかのぼること、14世紀のルネサンス期のイタリアで発見された。医学が発展し、それまで病気だと思われていたヒートなどが性別におけるものだということが分かった。しかし、発見後も世界各地ではΩへの弾圧や差別が行われていた。第二次世界大戦後にやっと国連ではΩの差別を是正する条約が締結された。日本でも、1980年代にはその条約に基づき、就労・就業においての差別を撤廃する法律も出された。学校教育において正しい教育をすることや、Ωの芸能人がTVによく映ることで、より差別意識は以前よりは少なくなった。
しかし、未だに差別は消えないこともある。先日も大学入試において、Ωの人の入試の得点を一律に下げていたことが内部告発によって明るみになったニュースがある。住宅街には子どもが多く住んでおり、悪影響がでるからという理由で入居が拒否されるアパートやマンションもある。α原理主義を謳う過激な人々は世界各地でテロ行為を行い、その度にΩの人は犠牲になっている。
社会の仕組みが変化しても、人々の意識の中が変わらなければ大きな変化は望めない…
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