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4月
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時は過ぎ4月
花びらが舞い散るこの季節。無事希望だったF高に合格する事が出来た
「とおる!制服似合ってんじゃん!」
ばんっ!と背中を叩いてきた親友に頬を緩める
「大輔こそ」
合格発表日、大輔の名前だけがなく落ち込んでいたのだが、その数日後に補欠だが合格したと泣きながら電話をしてきたのは記憶に新しい
彼の名誉の為にも補欠合格というのは黙っておいてやろう
ともあれ、いい事があれば悪い事もあるわけで………数ヶ月前
「お父さんとお母さん離婚する事にしたの」
と両親より告げられた
仲が悪くなったとか嫌いになったという訳ではなく、ただお互いの進むべき道が違い過ぎ、このままでは本当の幸せにはなれないと判断し、何回もの話し合いの元で離婚する事に決めたのだという。
お互いの人生だ。文句はないし、離婚した所で俺が母さんや父さんの子だという事には変わりはない
問題は俺がどちらの親の下に行くかだが、考える間でもなく母親の方だった
強がりな所があるが本当は繊細で脆い所もあるから1人だと心配だからだ。父の方にも
「母さんを守ってやってくれ」
と約束させられた
それに離婚云々の代わりに家庭教師の件は有耶無耶になりあれ以来裕也さんとは会っていないので正直ほっとした思いでもあった
「おーい、とおる何ぼーっとしてんだ?」
思いにふけっていてもしょうがない
顔を左右に振り、頭を冷えさせる
「いや、何でもない」
「そっかぁ、ならいいけどあんまり抱え込むなよ?」
「あぁ」
「んじゃ!駅のゲーセン行こうぜ!新しいゲーム出たらしいんだ」
きっと両親の事気にしていてくれて、気晴らしに連れて行ってくれようとしてるのだろう。
あえて聞いてこなかったリ、気晴らしに誘ってくれたり本当に
「ありがとう」
「いきなりなんだよ?」
「何でもない!」
「うらァ!………こんっの!ふん!」
「頑張れ〜大輔ーそこだー」
「おまっ!もうちょっと感情込めて応援しろぉぉぉ!」
「ほら上」
「へ?あぎゃぁ!」
ゲームセンター内、シューティングゲームに大輔がハマってしないかれこれ1時間見させられている
これ、気晴らしとかじゃなくて本気でゲームしたかっただけじゃ………数時間前の感動を返せこの野郎╬
「うげっ!もうこんな時間!母ちゃんに殺される!」
「夢中になり過ぎだ馬鹿」
大輔に急がされ走って電車に乗る
「そう言えば、お前引っ越したんだったな?どうだ?新しい家は」
「引っ越したんじゃなくて改装のために、一時的に借りてるだけ!不満を言うなら、折角家の近くの学校選んだのに電車通学になってしまって朝起きれるかが不安」
「あっはは!それは残念!」
そう。両親が離婚した後、出張が多い父が母に家を譲り新しくスタートを切るためにも、ボロボロだった我が家を改装する事になった。
で、改装中家に入れないため、仮設住宅を借りることになったのだ
「まあ仮設住宅って名前だけで、普通に良いマンションだから文句はないけど」
「へぇー今度遊びに行っていいか?」
「良いよ。菓子付きならな」
「わーったよ」
ブーブー言ってる大輔に笑いが込み上げてくる
「次は○○〜○○〜降りられる際はお忘れ物なさいませんようご注意ください」
「次じゃない?」
「そうだな、またなとおる!休み明けに!」
「おぅ!」
大輔が降りた後、とおるの後ろに黒い影が近付いているのに気付かなかった
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