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大好きな猫の事をひたすら2人で話し通学手段の駅へと辿りついた。
人が多くなる時間帯を把握していた僕は極力避けてこの電車に乗る事を決めていた。だけどここで少しだけ疑問に思った事があった。谷中君に早く行っていることは話した覚えはないのに、どうして谷中君は僕がこの時間帯の電車に乗る事を知ったのだろうか?たまたまにしてはすごくないか?
一度思った疑問は僕の心に住みついた。
何も怪しむ事なんてないのに、友達なら普通に聞いてみればいいんだ。
僕はありったけの勇気をかき集め隣で電車を待つ谷中君を見た。
「ん?郁どうしたの?」
「んひっ、な、なんでもないです」
僕は下を向き谷中君を見るのをやめた。
簡単に聞くことが出来ない僕は弱虫で意気地なしのダメな男なのだろう。目頭が熱を帯だし鼻の奥がツンと痛んだ。
少し待てば駅のホームに電車がやってきた。僕らの前を何両か通りすぎ、少し行き過ぎた近くの扉へと足を進め扉近くの座席へと腰をおろす。
もちろん谷中君は僕のすぐ隣に腰を下ろしイヤホンを取り出し携帯へと突き刺していた。
音楽を聴くのか、それとも動画でも見るのかと思い僕はホッとした。電車に揺られる数十分の間は会話する事がないと思い僕は静かに目をつむって1人の世界を堪能しようと思った。だけど谷中君の考えてる事が僕と合うはずがなく、僕が考えた予想を軽く超えていく。
「郁、はい。これ片耳につけて」
そう言って手渡してきたのは片方のイヤホンだった。
「え?」
残りの片方のイヤホンは谷中君の右耳に装着しており、僕は片方を受け取り固まった。
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