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谷中君から言われ心臓が跳ねた。
正確には人が怖くてあまり関わりたくない、だ。
でも僕は友人を欲しがった。矛盾しているのは分かっていた。一人が寂しくて丁度いい存在を欲しがってしまった。そんな僕は谷中君と同じ。
だから僕には当たり前の罰なのかもしれない。
「ついたよ」
気がつけば目の前には見慣れた僕の家が建っていた。
谷中君は僕の鞄を取り内ポケットからお目当ての鍵を取り出した。どうして場所を知ってるの?なんて聞くことも出来ない。
僕自身の家なのに谷中君は鍵を開け中へと入る。
そして力ない僕は谷中君に引っ張られ玄関でこけてしまう。
「大丈夫?ごめんね」
優しい言葉のはずなのに、優しさの一ミリも感じられない言葉。僕はゆっくりと立ち上がり、目を合わすことなく「大丈夫」と返事を返した。
扉の鍵を閉め、谷中君は靴を綺麗に揃えて僕の部屋へと一直線。なぜ知ってるのかと疑問に思ったが勿論それも聞けない。
嫌な汗が背中を伝う。僕の部屋に入り、
「あれ、郁の部屋鍵ついてないの?ふ~ん・・・・」
鍵をかけて何をするつもりなのだろうか。
昨日のことを思い出し僕は胸の辺りの服をぎゅっと掴む。そして谷中君はある物を見つけ拾い上げた。
「携帯電話壊れてる・・・・どうりで何回電話してもつながらない訳だね」
昨日の夜、壁に投げつけたのすっかり忘れていた僕はいつも入れているポケットに手を入れるが、もちろんあるわけがない。
谷中君が持っている携帯が僕のだから。
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