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「谷中君、おはよう・・・・」
いつもと変わらないはずの朝、谷中君が僕の家の玄関で待ち一緒に登校する。
そんな日常にやってきたのが夏の朝日。
僕は夏が死ぬほど大嫌いだった。嫌なことを思い出すから・・・・
「郁?大丈夫?顔色悪いよ?」
心配してくれる谷中君、やっぱり優しい。
そんな谷中君の姿を見れば夏の朝日なんて吹き飛ばして僕は元気になれる。
谷中君に笑顔を向け僕と谷中君は学校へと向かう。
「谷中先輩!兄貴は大丈夫ですよ!!そんなことより聞いてくださいよ!!」
そう言って凜久は僕から谷中君を取り上げ二人は前を歩いて行ってしまう。
嫌な気持ちになる、だけど僕はこの間のことを思い出す。
谷中君の猫になって数ヶ月。
僕は経験したことのないようなことを谷中君としてしまった。こうして谷中君と仲良く出来ているのも僕が完全な猫へと近づいているということなのか。
そんな得意げに微笑む僕に声をかけてきたのは、
『友達じゃない、愛玩動物だけど?』
そんなの、分かってる。僕が考えて出した答えに、口出しするなよ・・・・
僕は僕の中で言い切る。
一人でいるとこうして話しかけてくる心の底の僕。
本心だけど本心ではない、僕の虚像。
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