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△智side
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あれから。
騒ぎで駆け付けてきた警備員さんやビルの管理会社の人、被害店舗の関係者などが集まり店の前は騒然としていた。
そして何より【ジーンズマニア】は…
突如乱入した拓真と、拓真を止めようとした仁さんの手によって見るも無残な姿になってしまい…。
変質者の引き渡しや店の損害などの話し合いをすべく仁さんと拓真が管理会社に呼ばれていってしまい俺は奏多さんに連れられて駅前のファミレスへと避難をした。
「大丈夫?智ちゃん?」
心配そうな顔した奏多さんに覗き込まれ俺は慌てて顔を上げる。
「大丈夫ですよ!少しビックリしただけですから。」
それはホント。
ぶっちゃけ…
何かされる前に助けてもらったから色んな意味で傷は浅い。
「しかしアノヤロー!智ちゃんで六件目だったらしいな!ムカツク!」
実際そうらしい。
同じフロアのテナントの女の子を試着室に連れ込む度、あの男は自分のアレを彼女達に見せつけていたようで。
本当に…本物の変質者だったらしく…。
「しかしなんで智ちゃんだけ襲おうとしたんだろね?」
「…なんででしょうね?」
すると、ファミレスの入口のドアベルが鳴りそっちを見た奏多さんが立ち上がって手を振った。
つられて俺も視線を移すと……
…その先には!
「え…榎木、さん!?」
昨日のピザ屋のバイトの時、散々な目に合わされた相手の榎木さんがいた。
……でも…
なんで???
「やっ!智ちゃん!昨日はどーも。」
口の端を上げてニッと笑った榎木さんは奏多さんの隣りに普通に腰掛ける。
「遅いよ!」
「しょうがないだろー。今日は地味に営業に出てたんだから。」
ハーブティーをカップに注ぎながら高速瞬きで二人を見てると奏多さんが俺の方を見て苦笑いをしながら隣に座る榎木さんを指さした。
「ごめんね智ちゃん。コイツ僕の友達ってゆーかなんて言うか…。」
「片想い中の榎木和史です。」
そして…ん?
良く見ると榎木さんの顔の傷が…また一段と増えているような?
「…あ、これ?」
俺の視線に気付いたのか榎木さんが口角辺りを撫でながら。
「…ウチの猫は、自分の恋人に触れられるだけで怒るんだよ。」
『な?』と隣りに座る奏多さんに振ると奏多さんは首を傾げて俺と榎木さんを交互にみつめた。
◇◆◇◆◇◆◇
「…と言う訳だ。」
その後合流した拓真はファミレスの中だと言うのに普通に俺を抱き寄せたまま今までのネタばらしをした。
“バイトには反対だけどどうせするなら自分の仲間のいる所に!”
そして俺の社会勉強も兼ね、榎木さんに手伝ってもらってあの“作戦”を実行した……らしい。
俺…
騙されてたんだ?
怒りを通り越して笑ってしまう。
「智ちゃん?ここは怒ってイイトコだよ!」
奏多さんが眉を寄せて怒った口調でそう言う。
「おかげで俺は拓真にぶん殴られて、智ちゃんには股間に蹴り入れられて…散々だったぜ!」
「う…自業自得とはいえ股間は痛いな。」
頭をかきながら笑う榎木さんの横で奏多さんが苦笑いした。
「お前は智に触り過ぎなんだよ。」
低い声でそう言った拓真が榎木さんを睨み付けながらコーヒーを口にする。
「触んなきゃ無理だろ!」
すると興奮気味の榎木さんが唇を尖らせて反撃に出た。
そんな二人を呆れた顔して見てた奏多さんが笑いながら間に入る。
この三人…スゴくバランスがいい。
仲が良いからなのか息もピッタリだしすごくオモシロイ。
クスクスと笑う俺の肩を抱きいきなり拓真が唇にキスをしてきた。
「おぉっ!」
正面の榎木さんが驚いた声をあげる。
「あ、それでね智ちゃん?」
キスしてる俺に普通に奏多さんが声をかけてきて、こんな場所でのキスに集中できるハズのない俺は拓真を押し退け奏多さんに向き直った。
「しばらく店を閉める事になっちゃったんだ。」
「そうなんですか!?」
驚きとガックリな俺をみつめる奏多さんは可愛い顔から急に大人の表情になって。
「来年の一月に再開する予定だからまたバイトに来てくれるかな?」
…ってだけ言うとさっきまでの可愛い顔に戻った。
「はい。喜んで!」
笑顔の俺の横顔を見ながら少し笑った拓真は…その後複雑な表情を浮かべて溜め息を吐いた。
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