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番外編36ひと夜咲く純白の花の願い
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朝が訪れた。
28日の朝は、快晴で、冷えた空気も暖かくする。クリスマスから残っていた日陰にある最後の雪も、この暖かさで溶けるだろう。
カーテンの間から眩しい光が差し込んで、日差しが夢の世界から現実の世界へ引き戻す。
朝日の眩しさで目を覚ました僕は、隣で眠る百目鬼さんに頬を寄せる。
まどろんで夢見心地で、昨日重ねた肌の感触を思い起こす。
2度も切れたことで、2度目の賢者タイムは可哀想な程愕然としていた。
ふふっと思い出し笑いして、まだ夢の中の百目鬼さんの顔を見つめた。額に手を当てると、百目鬼の体温は正常で、順調に回復してるんだとホッとした。
甘い痺れの残る体を起こして、頬杖ついて寝顔を眺める。
黒い前髪のある眠っている百目鬼さんは、前髪をあげている時より若く見えて可愛い。
その可愛らしい寝顔のほっぺにキスをして、甘く囁いた。
マキ「おはよう、百目鬼さん♪」
ーボフッ!!
囁いた途端、枕が顔面に飛んできた。
マキ「ッたぁ〜い!!」
直撃した鼻を押さえていると。すでにベッドから抜け出して僕と距離を取った百目鬼さんが、こっちを睨んだ。
百目鬼「近い!!」
マキ「ふは♪、そんな生娘みたいな反応しないでよ♪、萌える♪」
百目鬼「もう騙されないぞ!…ッッ……体は平気か?」
真逆の感情が飛び出す百目鬼さんが面白すぎて、僕か腹を抱えて笑うと、百目鬼さんはなんとも渋い顔。
マキ「ふふ♪、ごめんごめん、あんまりに感情表現が豊かだから面白くって♪」
百目鬼「あ〜、やっぱ俺お前嫌いだわ」
マキ「ウフフ♪僕は好きだよ♪」
百目鬼「ッ…」
マキ「百目鬼さん可愛いし、かっこいいし、仕事もできて信頼も厚いし、エッチは情熱的だし♪」
百目鬼「…、って、お前マゾなんじゃないのか?あんなんされて良いなんて」
マキ「ん〜、マゾでは無いよ。百目鬼さんなら何されても気持ちいだけ♪」
百目鬼「ッ……、もうやめろよ、俺は…お前の気持ちには答えられない」
マキ「うん、一昨日ちゃんとお返事頂きました♪」
百目鬼「…、仕返しは別の方法にしないか?」
マキ「まだ言ってるの?男が一度言ったことをコロコロ変えるなんてカッコ悪いよ」
ベッドから降りて、百目鬼さんに一歩近づく。
百目鬼「お前が7回イくまでキレ無いでいるなんて無理なんだよ!お前自分がどんなか分かっててやってんだろ」
部屋の壁際の百目鬼さんを、僕はクスクス笑いながら、自分が最大限放てるだけの色香を漂わせ。妖艶な色を瞳に宿して見上げる。
マキ「…百目鬼さんから見た僕ってどんな?淫乱で卑猥、それから?」
百目鬼「……」
マキ「でもさ、再挑戦した時は3回までは持ったよ?そうだ、分割にして上げようか?」
手を前に出すだけで届く距離で、ジュピター色の濡れた瞳で。ジッと許可が下りるのを待つ。
百目鬼「…お前はそれでいいのか」
マキ「ふふ、いいよ♪」
否定は無かったとみて、そっと百目鬼さんの腰に手を伸ばし、触れた瞬間、百目鬼さんの声が上擦った。
百目鬼「…そうじゃ…なくて…」
マキ「ん?」
可愛らしく首を傾げて、百目鬼さんにピタリと寄り添うと、百目鬼さんの瞳から欲情の色が見え隠れした。
マキ「分割なら、今度はノーカンにならないし、僕、情熱的な百目鬼さんは好きだよ。仕返しさせて♪」
百目鬼「………分かった」
マキ「じゃあ、早速♪1回だけシとく?」
百目鬼「お前、どんだけだよ。底なしか?」
マキ「1分1秒が惜しいよ、百目鬼さんの所にずっと泊めてもらえる訳じゃ無いでしょ?」
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朝食は、少し焦げ目のある、6枚切り食パン二枚のまるまるフレンチトースト。
百目鬼「看病で世話になったから、生クリーム付きだ。雪哉のには劣るけどな」
マキ「え?、僕はこっちの方が好きだな♪、雪哉さんのは細やかで綺麗で柔らかくて美味しいけど…」
素直な感想を述べていたら、百目鬼さんから不機嫌な声が聞こえてきた。
百目鬼「おおそうだろう、俺のは大雑把で見た目も悪いし、ムラがあるからな」
マキ「あはは♪でも百目鬼さんのは僕のために作ってくれたって手作り感があって、幸せな味がするよ、僕は百目鬼さんのフレンチトーストの方が好きだよ♪」
百目鬼「…」
マキ「いっただきまぁーす♪」
お世辞じゃ無い、本当にそう思う。
キラキラフワフワした初めて食べた幸せな味のフレンチトースト。
あの大きな手と、ごつい強面のヤクザ顏が、僕が甘いのを好きだからと作ってくれた特別なもの。
僕にとっては、幸せそのもの。
あったかくて、キラキラフワフワで、甘い。
明日も、これが食べられるといいなぁ…。
朝食が終わると、百目鬼さんはスーツに着替えて事務所に降りていく。
すでに受けている依頼をこなすためだ。
百目鬼さんは発症から5日目なので、今日も外には出れない。
事務仕事をこなし、電話連絡を取って簡単な仕事に取り掛かっていた。
しばらく猫のミケを抱いて眺めていたけど、僕は洗濯をしに三階へ戻る。
洗濯して、寝室の換気に掃除もして、時計を見たら11時になっていた。
百目鬼さんは、ほっとくと駄目なので、事務所に降りて様子を伺った。
マキ「百目鬼さん、お昼はうどんでいい?」
デスクで一人で仕事している百目鬼さんに声をかけると、百目鬼さんが手招きしてる。
デスクに近寄ると、百目鬼さんが四つ折りの白い紙を2枚、僕に渡してきた。
百目鬼「琢磨からだ、ポストに入ってた」
そこには、不恰好で賑やかな字が並んでいた。
《マキちゃんへ
会いに来たけどお休みだったから、お手紙しました。また来るね。鬼にもまた会いに来るね》
《マキちゃんへ
コロが元気にたいいんしました。マキちゃんにはいつ会える?またくるね。鬼は元気ですか?》
事務所が休業してる間、何度も会いに来てくれたんだ。あは♪可愛い。
百目鬼「後で買い物行くだろ?その時返事出してやれば?明日は事務所開けるから」
マキ「うん、ありがとう百目鬼さん♪」
百目鬼「それと、昼飯は俺が作るから、大人しくしてろ」
マキ「はーい♪」
百目鬼さんの体調はもう大丈夫そう。
明日には梅さんの依頼の件で出掛けると言ってる。
矢田さんも檸檬さんも順調に回復して、明日にはみんな揃う。琢磨の家のポストに返事の手紙を入れて、日用品の買い出しと、食料の買い足し。外に出る時はしっかり女装。
あっ、後…生姜湯用の生生姜も買っとこう。あんなに気に入ってくれるとは思わなかったな♪。なんか、こうやって買い物してると、僕って百目鬼さんの奥さんみたい、ウケる。
「マキちゃん」
買い物帰りの僕を、誰かが呼びた止める。
振り返るとそこには、矢田さんがひどく神妙な顔付きで立っていた。
なんだか、嫌な予感がする。
矢田「話しがあるっす。ちょっといいっすか?」
マキ「僕に話し?」
矢田「…とぼけても無駄っすよ。あんたがどんな人間か、全部調べはついてるんす、どうか本当のことを話して欲しいっす」
…ふーん。
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