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番外編96ひと夜咲く純白の花の願い
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百目鬼「マキ…、すまない…」
がっくりとうな垂れた百目鬼さんが、僕の体を拭きながらベッド脇で賢者タイム中。
僕はベッドに横たわり、シュンと小さくなってるティーカッププードルを見てクスクス笑ってた。
マキ「ふふ♪昨日は大丈夫だったのに♪」
昨日は、何をやってもキレなかった百目鬼さん、今朝はフェラしただけで猛獣になっちゃった♪。
百目鬼「…すまん……あれは…修二が…」
頭を抱えてすまなさそうにしていた百目鬼さんは言いかけて、ハッとして口を噤む。
マキ「……修二が?」
百目鬼「…いや、なんでもない」
修二に言われたから?
だから…?
ふーん。
百目鬼「起きれるか?シャワーに行こう」
いつも通り甲斐甲斐しい百目鬼さんは、修二に何を吹き込まれたのか話す気は無いらしい。
シャワーを済ませ、いつものように大きい手で頭を乾かしてもらう、「拭けてない」って怒られながらドライアーと手ぐしで撫でられて幸せな気分。気分は本当に猫か犬になった気分。
ミケは毎日こんなに幸せな気持ちなんだろうか?
今日は僕からお願いして、朝ごはんにフレンチトーストを焼いてもらって一緒に食べた。
食事しながら百目鬼さんは、これから3・4日仕事が忙しくなると言った。
…。
〝ふーん〟と言いながら、ニッコリ笑って「お仕事頑張ってね♪」って応援しながら、言い訳を始める。
マキ「…僕もこれから受験だし、お互い忙しくなるね♪」
だから…、この後どうなっても大丈夫。
会わない間にやっぱりってなっても、百目鬼さんには責任はない。
百目鬼さんは真面目だから、きっと、自然消滅は狙わないだろう…、ご主人様になると言ったからには、〝目が覚めた時は〟ちゃんと連絡してくれると思う。
「やっぱり俺には無理だ」って言ってくれると思うんだ。だから、要らないと言われるまで、僕は可愛いペットでいればいい。
これは悲観的じゃない。
希望だ。
…もしかしたら…修二に言われて頼まれたから、しかなくだったかも…しれないし…。
でも、付き合ってみても良いかな?位には思ってくれた訳だから、僕はあの〝分かった〟と言った返事が、僕を受け入れてくれたと信じる…
百目鬼「…キ、マキ!」
マキ「え?」
百目鬼「大丈夫か?体辛いのか?」
心配そうな表情の百目鬼さんが、僕の頬に触れてハッとした。
しまった…うっかり…。
自己防衛のために、常に最悪の事態を想像するがためにうっかりぼーっとしてた。
僕は瞳を瞬いて、ニッコリ微笑む。
マキ「えへへ♪全然平気♪、ちょっと今朝の百目鬼さん思い出して勃っちゃいそうだったから、別のこと考えて沈めてただけ♪」
百目鬼「…」
へらっと笑ったら、百目鬼さんが渋い顔をした。仕方ない、次回からはもっと気をつけよう…
百目鬼「で?」
マキ「?。でって?」
疑問系で返したら、百目鬼さんの眉間にシワが寄った。
百目鬼「…教えてくれるんだろ?お前の携番」
マキ「ケイバン?」
百目鬼「…もしかして、まだ怒ってるのか?茶封筒のこと誤解してる?」
マキ「怒る?僕怒ってないよ」
百目鬼「だったら教えろ、新しい携帯番号」
あっ!
その言葉に一瞬狼狽えた。
嬉しい…けど………。僕はどっちの携帯番号を教えるべきか迷った。
修二たちを登録した携帯か、百目鬼さん専用に買った携帯か…。
百目鬼さんの真っ直ぐな強い瞳に見つめられ、僕はヘラヘラしながら、百目鬼さんに新しい携帯番号を教えた。
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百目鬼さんは、「連絡する」と言って、矢田さんの迎えの車に乗って出勤して行った。
僕は、玄関でお見送りして手を振りながら、百目鬼さんと連絡先を交換した携帯を握りしめた。
泉「その顔はダメだったんですか?」
マキ「うわッ!!い、泉!?」
背後から突然声を掛けられて驚いた。
僕の背後を取れるなんて、泉と先生くらいだ…。
マキ「ビックリさせんなよ…、いつから居たの?」
泉「…今ですよ。で?どうなったんですか?」
鋭く眼鏡が光る。泉は僕を良く分かってる誤魔化されたりしない。
マキ「あは♪僕のご主人様になってくれるって♪♪」
泉「…それは…」
〝セフレ?〟〝性処理道具?〟と言いたげに険しい表情になった泉。僕は泉の言いたいことが分かってる直ぐに訂正した。
マキ「やだぁ♪誤解しないでよ♪百目鬼さんはそんなこと絶対しないよ、僕に合わせてくれたの♪」
泉「それは、付き合ってるってことですか?」
マキ「うふふ♪」
泉「百目鬼さんの気持ちは聞いたんですか?」
マキ「ふふッ♪僕のこと可愛いって♪、他の奴に触らせたくないって♪、素直な良い子になるって約束した♪」
普通はここで納得してもらえるけど…。
泉は僕が何の言葉を避けたのか分かって直ぐに指摘してくる。
泉「〝好き〟って言われたんですか?」
マキ「言われてない♪♪」
泉「…」
へらっと答えると、泉は呆れたように深い長い息を漏らした。
マキ「百目鬼さんはシャイだから♪♪」
泉「シャイ?」
嘘だと言わんばかりに冷たい視線。
マキ「人にはそれぞれ愛の形があるからいいの」
泉「…愛…ね…」
マキ「泉は言ったろ?僕は月下美人みたいだって」
泉「…」
マキ「今、咲いてるとこなんだから、邪魔しないでよ」
泉「…ひと夜咲けば良いんですか?」
マキ「ふふっ、そういう意味じゃないけど…、可愛くしてお利口にして約束守って、真っ白な純粋な〝好き〟を示し続けたら、好きになってもらえるかもしれないでしょ?」
泉「………………………」
マキ「泉だって幾つも温室で育てて、幾つも咲くの見て楽しんでるじゃない、それにほら、1年に1度一夜だけ咲くけど、上手く育てたら2・3ヶ月後にもう一度咲くって言ってたじゃん♪」
泉「…………………マキ」
酷く優しい声だった。だから聞きたくなかった。
おちゃらける僕の声は、ワントーン下がる。
マキ「余計なことすんなよ。余計なことも言うな、僕と百目鬼さんの問題だ」
泉「…………しませんよ。自力でなんとかしなさい、誰かに取り持ってもらって上手くいっても、ずっとフォローしてもらう訳じゃないですからね。
マキは、百目鬼さんのために咲かせたんですね…」
マキ「…ふふ♪、可笑しいよね♪馬鹿みたいにつきまとって、でも…
好きなんだ。
〝あの人〟の時とは違う、ちゃんと向き合ってるのが分かる、まだまだ全部は言葉に出来ないけど、僕のご主人様になってくれるって言ってくれた。僕にそばにいて欲しいって言ってくれた。
だから、それで良いと思うんだ。徐々に好きになってもらえれば。今は、向き合えるようになったから、それでいいんだ」
僕は、泉の目を真っ直ぐ見て、微笑んだ。
マキ「僕さ、先生帰ってくる前に行きたいとこあるから、泉留守番してて」
泉「どちらへ?」
マキ「携帯屋さん♪、携帯一つ要らなくなったから解約してくるねぇ♪」
2個携帯を握りしめ、泉に振って見せたのは、〝誰にも教えることのなかった携帯〟
爽やかに笑って駆け出した僕を、泉は〝何やってんだ〟と呆れてる。
泉(全く…、これじゃあいつまでたっても埒があかない…。マキは百目鬼さんの何処にそこまで惹かれるのか…。私からすれば、でっかい体を持て余してオロオロする子供のような大人だし、マキはマキで、臆病になっちゃって本来のらしさが半減してるし。
百目鬼さんに詳しい方に少し探りを入れましょうか…、〝彼〟なら協力してくれるかもしれない……。)
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