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(番外編)純愛♎︎狂愛31
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マキ「ねぇねぇ♪そこのお兄さん♪♪」
居酒屋から出て百目鬼さんと別れ、ほろ酔いで歩いていた奏一さんを呼び止め。
ニコニコと笑いかける。
奏一さんは、僕を見ると僕の風貌に驚き、怪訝に眼を細める。
僕は、百目鬼さんに存在を悟られないため、女装していた。
居酒屋にいた時は、カツラを被って化粧もバッチリしていたけど、化粧は残念ながら泣いてしまったのではげてしまって、今は女装に浮かない程度のナチュラルメイク。カツラは外した状態。大人っぽい黒のワンピースに身を包み、奏一さんの前に現れた。
奏一「マキ君?君どっから湧いて出たの?それとも俺の尾行?」
マキ「んふふ♪♪尾行じゃないよ〝偶然の出会い〟」
若干警戒されたけど、そこは想定内。
奏一さんのことは、修二からリサーチ済。
そして、奏一さんを誘い出すのは、簡単。修二のことだと言えば、食いつくことは分かっていた。
僕は、ニコニコヘラヘラしながら、警戒する奏一さんの瞳を真っ直ぐ見つめた。
マキ「……修二が、お兄さんのことが心配だって漏らしててね♪元気ないし、悩み事あるみたいだって、言ってまして。最近百目鬼さんとも依頼の件で会ってますよね♪それで揉めたりしてるのかなぁとか、心配してます。でも、僕こないだお会いした時思ったんですよね♪。もしかしたら、男関係かと思いまして♪♪」
〝男関係〟って言葉に激しく反応した奏一さんは、ここが道端だということを凄く気にしてキョロキョロしだした。
人間は、不安や焦りで冷静な判断力を失う。
僕は、修二のためということを強調して、うまい具合に奏一さんを家に連れ込んだ。
僕の部屋に入った途端。
奏一「引越したばかりか?」
そう言った奏一さん。
みんな同じことを言う。
僕の部屋は何もない。必要なもの以外荷ほどきしてないからだ。
百目鬼さんに一緒に暮らそうって言われたら、いつでも引越せるようにしてあった。なんて言えるわけないけど♪♪。
さて、ここからが本番だ。
奏一さんの心のつっかえは、だいたい想像ついてる。それを取り除きつつ、百目鬼さんのことをどう思ってるのか聞き出さないといけない。
もし、本当に奏一さんが百目鬼さんに〝恋愛感情〟を抱いていたとしたら…
そうなったら2人をくっつけ…
マキ「アッッ!!」
考え事をしていたら、紅茶を作るため沸かしていた、沸騰したヤカンの湯気で火傷してしまった。
奏一「おい!早く冷やせ!!」
火傷を眺めているだけの僕の手を、奏一さんが素早く水道水で冷やしてくれた。
奏一さんの行動に、百目鬼さんが重なる。百目鬼さんも、昔僕が火傷した時、心配というより怒鳴ってすぐに手を冷やしてくれた。
さらにちゃんと手当しようと、製氷室を開けた奏一さん
奏一「氷が無い…」
マキ「…まだ作ったことなくて…」
えへへ、と笑ってみたが。奏一さんは呆れた顔で台所を見回し、そして、ゴミ箱のコンビニの弁当のゴミだらけの袋を見てため息ついた。
百目鬼さんとのご飯がなくなり、出かける気力もない僕は、毎日コンビニ弁当で済ませてた。
奏一さんは僕から紅茶の茶葉の入った缶を取り上げ、自分で2人分の紅茶を作ってしまった。
うぅ、申し訳ありません。
その紅茶はラベンダーの紅茶で、疲労回復に良いって先生様から貰った高級なもの。
マキ「ふふ、いい香りでしょ♪それ、疲労回復やリラックス効果があるんですよ♪」
ニコニコ言った僕に、奏一さんは「へー」といいなら、僕の冷やしてた手を気にして、僕の手を取り、火傷がないか確認していた。
奏一「大丈夫そうだな…」
そう言って、優しい眼差しをした奏一さんを見て、心底修二が羨ましいと思った。
マキ「修二見てると、奏一さんみたいなお兄ちゃんがいて羨ましい…」
奏一「…そうか?俺は口煩いし過保護だし厳しいぞ」
とても素敵だと思うのだけれど、実際にそういう兄がいるとうざいもんなのかな?でも、修二は奏一さんが大好きだ。
マキ「ふふっ、修二は奏一さんに絶対の信頼がありますよ。奏一さんは自分をよく見てくれてるって、それに兄でありながら父親であり、色々教えてくれるって。母のためにいっぱい働いて、その間のわずかな時間全部修二のために使って家族を支えてくれる、凄い兄貴だって。
兄は何もかも犠牲にしてダメな自分を守ってくれた
『僕ちゃんの〝一番の理解者だ〟』って」
僕の言葉を、そんなはずないって顔して驚きを隠せない様子の奏一さん。
彼の悩みの種は、これで間違いなさそうだ。
マキ「そんな顔しないで奏一さん、修二は奏一さんが大好きだし。それに奏一さんがいて、むつや華南がいて、みんながいて、今幸せなんだよ」
奏一「ッ、お前…、マキ君は修二の…」
心情を言い当てられたのと、修二の過去を知ってる僕の口振りに、奏一さんは驚きの連続で混乱し始めてる模様。
落ち着いてもらうために、去年チンピラに修二が攫われた件で、僕が解毒剤の運び役だったことを話し、さらに、修二やむつ、華南や、百目鬼さんからも事情を聴いていると説明した。そして、奏一さんが驚きの連続で混乱気味なのをいいことに、彼の本音を聞き出すため、1番重要な信頼を勝ち取るために畳み掛ける。
マキ「修二に聞いてもらっても良いですよ、数回しか会ってない僕の言うことなんか胡散臭いでしょ?」
奏一「…」
奏一さんを信頼させるための一番のキーマンである修二に電話させ、僕が奏一さんの味方であると信頼させる。
修二が、僕を悪く言うわけない。そして、この計画を修二は知らない。修二にバレたら、余計なこと事までバレてしまう。
だが、電話を切った奏一さんは、僕をちょっと不審な目で見た。
マキ「あら、僕は益々怪しい奴になっちゃった?」
奏一「いや…、修二はキミのこと凄く人の気持ちのわかる良い子だと言ってた」
修二ごめんね。ありがとう。
マキ「……身分証明書見ます?」
奏一「いや、いい。話しを聞きたい」
僕の座ってる場所の向かい、ローテブルを挟んで奏一さんが座る、僕は、ラベンダーの香り漂うティーカップを奏一さんの前に置いた。
マキ「奏一さんのお店の調査に百目鬼さんが入ってから、修二にバイトを休ませたでしょ?アレは、百目鬼さんに接触させないため?修二が気にしてた」
奏一「違う…。犯人が捕まるまで俺は一箇所にとどまれないから…、安全に配慮した。修二が犯人と出くわしたら、あいつは絶対無茶して捕まえるに決まってる」
奏一さんの答えを、瞳を真っ直ぐ見て読み取る。奏一さんを悩みから解放し、百目鬼さんをどう思ってるのか聞き出すため、奏一さんの気持ちを少ない情報で読み取り、懐に飛び込む手はずを整えなければならない。
奏一さんの中の百目鬼さんに対するしこりを取り除き、奏一さんも百目鬼さんも長年の呪縛から解放できるようにしてあげたい。
マキ「さっき、修二に百目鬼さんと飲みに行ってると言ってましたけど和解されたんですか?」
奏一「修二と百目鬼は和解した」
マキ「奏一さんと百目鬼さんですよ」
奏一「俺は…」
マキ「修二が心配してましたよ」
奏一「……許してはいないが、今の百目鬼の事はちゃんと知っとこうと思ってるだけだ」
マキ「…」
奏一「依頼のことはこっちがお願いしてるんだから、揉めたりしない、安心しろ」
やっぱり、奏一さんは和解しようとはしていた。だけど、裏切りや大事な弟を傷つけられた痛みは計り知れないほど深い。
そのために、余計なものまで絡めて悩んで、奏一さんはすでに悩みのドツボにいる。
マキ「奏一さん、百目鬼さんと問題ないならなんで日に日に疲れた顔になっちゃってんです?営業妨害の件もあと一歩ですよね?」
奏一「それは…」
マキ「…別に心配事があるんですよね?僕に百目鬼さんとの関係聞いてきたり、だから、そうゆうことなのかと…」
奏一「そういうことッ!?」
マキ「修二君に何か聞きたそうだったけど、聞けてなかったみたいだし。それは、男同士について知りたいけど、弟には聞きずらい…って顔に書いてありましたよ」
奏一「うっ………」
その反応。
やっぱり、男同士についても悩んでた…
あは♪
ギリギリ胸が痛む。
自分のやってることで自分で傷ついてるなんて、超ウケる♪♪
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