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〔番外編〕狂愛♎︎純愛19
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暫くして、姫香さんが会場入り。
身支度に1時間半、マキも花嫁の控え室で着替え。護衛として、杏子も待機。
杏子から連絡が入り、花嫁の姫香さんの支度が整ったそうで、スタッフの格好した俺は、一度顔を出した。
部屋は、中でふた部屋に分かれていた。
くつろげるスペースと、フィッティングルームと化粧室の合わさった部屋。姫香さんには申し訳ないが、式が始まる直前まではフィッティングルームの方に隠れてて貰う。
くつろげる空間の真ん中に、衝立で囲ったところにマキが座ってた。
真っ白な純白のウエディングドレスに、化粧もして、ベールを着け、完璧な花嫁姿。
マキは、杏子に口紅を塗ってもらっていて、薄っすら唇を開け、目を瞑っていた。
百目鬼「…」
………綺麗だ…
と思った。真っ白なドレスやベールに包まれて、女装だとか、男だとか、そういうのじゃなくて、夕日や朝日を見て綺麗だと感じるように、自然と綺麗だと感じた…。
まるで……
檸檬「見惚れちゃってるよ」
百目鬼「ッ!?」
俺と同じくスタッフの格好をしていた檸檬が、いつの間にか部屋にいて、俺をからかって声を押し殺して笑ってる。
俺の事を悪戯に笑って通り直ぎ、檸檬はマキに近寄って行った。
檸檬「マキちゃん超綺麗だよ!!」
マキ「んふ♪♪ありがとうございます」
檸檬「マキちゃん彫刻みたい!美しい芸術作品みたいだよ!」
確かに元々色白で真っ白なドレスを着てるもんだから、マキは人離れしてて、ドールのようだ。近年のドールは、リアル過ぎてむしろ人間のようだが…、どっちがどっちか…。
杏子「檸檬、女性を口説く時そんなだから振られるのよ、そんなこと言われて嬉しい訳ないでしょ」
檸檬「えっ?褒めたのに、人間じゃないみたいに美しいって意味なのに、…うー、そうだな…、あー、そうだ、天使みたいとは違うな、もっと大人な雰囲気。天使みたいだし、美しいし、あ!そうそう、聖母マリアみたいに美しい!」
マキ「…」
一瞬。マキの笑顔が引きつったように見えた。
杏子「まぁ、それなら」
檸檬「百目鬼さん、マキちゃんマリア様みたいに美人だよね?」
馬鹿話に付き合ってられない。
無視すると、檸檬に小突かれ、小声で言われた。
檸檬「百目鬼さん、綺麗とか言ってあげたの?花嫁に」
百目鬼「仕事中だ!」
檸檬「あっそ、見惚れでたくせに。マキちゃんに教えてあげようっと」
いつまでも俺の優位に立てると思うなよ。
悪戯な檸檬の顎を無言で掴むと、檸檬は痛がりながら、冗談だと笑う。
檸檬「いひゃひゃッ、暴力はんひゃい」
百目鬼「調子にのるなよ」
檸檬「でも、マキちゃん綺麗じゃない?」
試着室でのマキを思い出した。
『初めては、百目鬼さんに…』
たぶんマキは、俺が昔、初めては残ってないって言ったのを覚えてたのだろう。
分かったよ、褒めりゃ良いんだろ!
百目鬼「そうだな!綺麗だな!」
投げやりにそう言い放った。
マキ「……」
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
スタッフの格好をした俺は、チャペルを巡回しながらその時を待った。
その時。
インカムから檸檬の緊迫した声が響く。新郎の控え室のドアが開かなくなって、檸檬と新郎が閉じ込めらた、と連絡が…
ついに来た!!
すぐに、杏子の携帯に確認、新婦控え室に駆け込むと、新婦控え室は異常は無い。
姫香さんに負担の無いよう、新郎が閉じ込められたのは伏せ、俺は新郎控え室へ。新郎控え室はドアノブが外側から細工されていた。
直ぐに仕掛けを取り除き、再び新婦控え室へ、すると、目と鼻の先の新婦控え室から破裂音が!
ーバンッ!!
「「きゃっ!!」」
杏子と姫香さんの悲鳴が響いたと思ったら、立て続けに今度はガラスの割れる音が。
ーガシャーン!!
俺が新婦控室にたどり着くと、白のタキシードを着た、派手な髪のヤンキー男が花嫁を人質にナイフを振りかざしていた。
耳にはピアスが無数にあり、右の唇に丸いピアスまでしている。その顔は、姫香さんに送りつけられた写真に無い顔だった。
ストーカー男は狂ったように怒鳴り散らす。
男「邪魔すんな!!姫香は俺の花嫁だ!!」
いきり立って興奮状態の男は、ナイフを入り口側と花嫁と交互にちらつかせた。
男「邪魔するなら八つ裂きにしてやる!姫香と結婚するのは俺だ!!」
新婦の控え室は、一瞬にして修羅場…
だが、残念ながら、大事に抱えてるその花嫁は、てめーの花嫁じゃねぇ。
あの花嫁は、花嫁になりすましたマキだ。
ストーカー男は、控え室で花嫁を人質に興奮状態。冷静さの無い頭の悪そうな男、だが、奴は恐らく、捕まらないように今まではやってきた。今の男は視点が定まっておらず、薬物使用の疑いがある。こっちが下手に動けば、何をしでかすか分からない。
張り詰めた緊張感の室内に、ストーカー男の身勝手な欲望が響き渡る。
男「入口開けろ!俺は姫香と結婚すんだ!」
ナイフを振り回し、花嫁を引きずってジリジリ前進。
入り口の俺と杏子は両手を上げて、ゆっくり後退する。
男「邪魔しやがったら刺すぞ!」
ストーカー男の好き勝手にさせたくはないが、目が血走ってて恐らく言葉は通用しない。
男「デッカイの!もっと下れ」
ナイフを振りかざし、ストーカー男は花嫁を無理やり引きずって部屋から出ようとした。
が…
男「あ?」
ストーカー男が、花嫁を見て不快な声を出した。うつむいて震える花嫁の髪をひっつかみ、男は無理やり花嫁の顔を上げさせた。
ベールに包まれてレース越しに見るその顔に男が目を見開く。
男「ッ!!??。ッテメー誰だ!!」
男の怒鳴り声に、花嫁はクスクス笑って微笑んだ。
マキ「ふふ、マキちゃんです♪♪」
あのバカ!
男「あアッ!?
俺の姫香じゃねぇ!!!」
マキの胸ぐらを掴もうとしたが、マキが腕を取り反転、しかし、男は関節が決まりきる前に、うまい具合に逃げた。ストーカー男は、体の使い方を知っていた。
男「ざけんな!」
ナイフを振りかざし、ストーカー男がマキにだけ集中した瞬間の隙を突いて、取り押さえに飛びっかかる。ストーカー男の頬にゴッと鈍い音とともに拳がヒットして吹っ飛んだ。
がッ、芯を外された。
チッ、こいつ喧嘩慣れしてる。
男は、口から血を垂らしながら、立ち上がり、再びナイフをこちらに向けニヤリと笑う。
男「姫香はどこだ?」
百目鬼「ここには居ないぜ」
男「嘘だ!控え室に入るのを見た!姫香を返せ!」
男は狂って怒鳴り散らし、俺を仇のように睨みつける。
男「畜生!こんなことなら早く迎えに行きゃ良かった、俺に会えない寂しさで、他の男を作るなんて!!」
百目鬼「お前、だいぶキマってんな…」
男「クックックッ、さっさと迎えに行って、一生側で幸せにしてやるって言ってやれば良かった、そんなに寂しかったなんて、側にいて、ベッドに繋いで飼ってやれば良かった。早く躾けてやれば、こんなオイタはしなかったろうに…、もう寂しい想いはさせない!鎖につないで家に閉じ込めて俺だけのものにしてやる!」
ッ!?
その言葉を聞いた瞬間、背筋が凍った。
それは、
獰猛な俺の考えと酷似してる。
俺の姿だった………
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