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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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賢史さんは、ワイシャツの袖をまくって魔法のようにノンアルコールカクテルを作った。
骨太でちょっと毛深いお調子者のちょび髭おっさんの手から、綺麗なキラキラした飲み物が出来上がってく。僕たち4人は賢史さんの作るノンアルコールカクテルに釘付け。
それぞれの好きな飲み物を聞いて作った即席の物だけど、見た目がとても綺麗。
華南には、ジンジャエールとライムで作ったモスコミュール風のキラキラする飲み物を。
紅茶好きの修二にはアイスティーにレモネードを混ぜてオレンジを飾ったシアトル風。
甘いのが好きなむつには、桃缶の桃を刻んで底に沈め、そこに牛乳とソーダを入れた三層に分かれた飲み物に、カットした桃を淵に添えて出してくれた。
むつ「スゲー!なんだコレー!色が別れてるー!」
賢史「飲む時混ぜてくだぁさい」
むつ「スゲー!」
単純なむつ君は、カクテルを見てご機嫌。「スゲー、スゲー」って興奮しっぱなし。賢史さんは、むつの扱いが非常に上手かった。しかし、相性が悪いのはどうしようもならないみたいで…
賢史「ハイどうぞ、マキには苺のハート付けといたぜ」
と言って、僕には苺ジャムに牛乳を混ぜた苺ミルクに、ハート型にカットされた苺の付いた飲み物を出した。更にラブビームのウインク付き…
うーん。
その途端、友好的だったむつが即座に反応して賢史さんを睨み、ハートの苺にガブッと噛み付いた。
賢史さんのハートは無残にもむつの口の中。
苺をモグモグしながら、むつは賢史さんにドヤ顔。
しかし、相手は賢史さん。
賢史「まだあるから」
ニヤニヤまたハート型の苺を出して、再び僕のグラスの淵にくっつけた。
むつ「ムッ!」
むつがまたハート型の苺に被り付き、賢史さんのハートを破壊するが、賢史さんは更に新しいハート型の苺を僕のコップに添えて来る。
賢史「ほらほらぁ、いっぱいあるぞ」
むつ「しつけーなおっさん!」
むつは僕に出されるハート型の苺を横からバクバク食べまくる。まるで子供のやり取りを唖然と眺めていたら、何個目か分からないハート型の苺を僕のグラスに添えようとした賢史さんの腕を、横から伸びてきた細い手が掴んで止めた。
奏一「食べ物で遊ぶのは感心しません」
低いスロートーン、奏一さんが賢史さんに冷たい視線を向けた。
賢史「…こりゃ失礼。お兄さんにもお作りしますよ」
奏一さんの冷ややかな視線を気にもとめずにニッと笑う賢史さん、一触即発かと思いきや、奏一さんは静かなスロートーンで続けた。
奏一「俺より先に、綺麗なお姉様方にイメージカクテルを作って差し上げたらどうですか?」
キャサリン「あら〜素敵ィ♡」
賢史「ゲッ…」
奏一さんの一言で、お店のお姉様方がカウンターに群がって来た。
マリン「私は海のように美しい心の色のカクテルがいいわ」
リボン「あんたの希望じゃないのよ。イメージカクテルだから、あんたの場合そのドギツイ口紅の色みたいなのがお似合いね」
マリン「はぁー?じゃぁ、あんたのは桃色カクテルね」
リボン「あら桃色素敵じゃない」
マリン「豚ちゃんの色と同じぃー」
リボン「はー!ちょっとその暴言、背負い投げぇー」
ワイワイガヤガヤ、お姉様方がカウンターに群がるから、賢史さんはタジタジ、極め付けに菫ママがやって来てニッコリ微笑む。
菫「奏一さんナイスな考えねぇ〜。
賢史ちゃん、今日はタダ酒なんだから、一杯づつくらい作っても良いわよねぇ〜」
賢史「…、綺麗な子になら喜んで作るけどよ…」
菫「なんですって?」
賢史「綺麗な子ばっかりだから喜んで作ります」
こうして賢史さんは、カウンターの中で黙々とカクテルを作り続ける。
むつがそれをゲラゲラ笑いながら見てて、忙しい賢史さんにノンアルコールカクテルのお代わりを要求。賢史さんは真面目にむつたちのお代わりも作りながら、お姉様方にはカクテルを提供。
賢史「こら!リボン、お前のはさっき作ったろ!お前らは一人一杯!お代わりは王子様たちだけだぞ!」
30分以上かけて、お店の全員分のカクテルを作り、僕たちのノンアルコールカクテルのお代わりも真面目に作ってくれた。
マキ「ふふふ♪賢史さんカッコいいよ」
賢史「うるせーな、お前は調子に乗って何杯頼むんだ」
ちょっとお疲れ気味の賢史さん。
僕はカウンターで隣の奏一さんに守られるようにぴったりくっついるし、お姉様方が賢史さんの邪魔するから、賢史さんもなかなか僕にちょっかいが出せない。
マキ「んっと♪5杯くらい?」
可愛らしくキュルンと答えてみたら、賢史さんがちょっと呆れ顔。
賢史「おーおー、ナイトに守られて可愛くない顔に戻ってやがる」
と、つまらなさそうに言いながら、僕のお代わりもキッチリ作ってくれた。
そして、思いついたようにお酒を混ぜてシェーカーを振ると、カクテルグラスに注いで奏一さんの前に出した。
賢史「お待たせ、奏一さんのイメージカクテルです」
奏一「これは?」
それは紅茶の色に似た透き通るような赤茶の綺麗なカクテル。
カカオの甘い香りがしていた。
奏一さんのイメージカクテル?
僕の持つ奏一さんのイメージはエメラルドグリーンみたいな暖かい優しいエロだけどなぁ…。カクテルなら意味の方かな?
これ、なんてカクテルかな?
賢史「まぁ、飲んでみてくださいよ」
賢史さんは勿体ぶって微笑み。賢史さんに勧められるまま、奏一さんがその透き通る赤茶のカクテルに口をつけた。
奏一「…」
賢史「…どうですか?」
奏一「…あっ、飲みやすい…」
賢史「でしょ」
カカオの甘い香り…僕も飲んでみたいなぁ…。
奏一さんの表情が緩んだのを見て、賢史さんが深く微笑んだ。
奏一さんが二口目を口にしようとした、
その瞬間。
百目鬼「飲むな!」
百目鬼さんが奏一さんからカクテルを取り上げた。
マキ「…」
奏一「…え?」
百目鬼さんは厳しい顔つきでカクテルの匂いを嗅いで、賢史さんを睨みつける。
百目鬼「賢史てめー、killerカクテル出すとはどういうつもりだ!」
killerカクテル?!
殺すカクテル??
何それ!?
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