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(番外編)純愛>♎︎狂愛
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賢史さんがカウンターへ入って、何かを作り始めた。これが、意図的にやってる事か、違うのか賢史さんの考えは分からないけど。
今しかチャンスが無いって事だけは分かる。
心臓がありえないくらいバクバクバクバク言ってて、吐きそう…
マキ「ッ…ど、百目鬼さん」
踏ん張れ!どもるな自分!
百目鬼「…なんだ」
マキ「…隣…いい?」
百目鬼「…………あぁ」
一瞬の間が怖い。
百目鬼さんの顔が見れない…
僕と百目鬼さんの間は、4人分くらい離れていたけど、百目鬼さんの様子を見ながら、ススッと、一人分座れるくらいの幅まで寄った。
これくらいかな?
あんまり近すぎても…迷惑だよね。
百目鬼さんと菫ママの店に来る時は、いつも百目鬼さんの真隣に座ってた。ピタッとくっついて体の一部が触れてる事が嬉しかった。
周りに茶化されても、付き合ってないと言い張る百目鬼さんが、賢史さんや矢田さんやお姉様方の隣は危険だって理由つけて僕の隣にいることを許してくれてた。
だけど、今は、その理由も無い…
百目鬼「………」
百目鬼さんの何処まで近づいていいか…
今までは隣だったのに、今は隣が適正距離か分からない。
マキ「…あの、百目鬼さん」
百目鬼「…」
マキ「本当に反省してます。本当にすいませんでした」
百目鬼「…」
百目鬼さんは、ジッと僕を見下ろしたまま無言でいる…。
マキ「あのね…、聞いて欲しい事があって…、だから、聞いてて欲しいんだ…」
百目鬼「………」
マキ「さっき、修二が言った事気にしないで♪、ちょこっと体調崩して食欲減っただけで、今は食べれてるから♪。修二とか奏一さんにお世話にはなったけど、もうなんの問題もないから、今は元通り元気だから♪」
百目鬼「…そうか」
低い声が落ちてくる。
興味なさそうな無機質な声…
マキ「あはは♪ごめんねこんな話し。一応話しておこうと思って…。退院して清史郎さんの所にお世話になってたけど、今はね、修二の所にいてね、奏一さんとかに面倒見てもらってて、でも、もう直ぐ一人暮らしに戻るから。新しい部屋に住むんだ」
百目鬼「……」
こんな話し、興味無いよね…
ごめんね…
マキ「…百目鬼さん…、僕、百目鬼さんと最後に会った日、薬で興奮状態で何も言えなかったんだ…、だから、聞いて欲しくて…。聞きたくなかったら、聞いてるフリでもいいから、隣にいて…」
百目鬼さんは、答えないけど、席を立とうとはしない…。聞いてくれるつもりなんだ…。
マキ「勝手な事してばかりでごめんね…。さっき言ったけど、僕も百目鬼さんの力になりたかったんだ…。瀧本の事は、僕を狙ってたから、自分の力でなんとかしなきゃって…、瀧本は、百目鬼さんのこと調べてて、言う事聞かないと百目鬼さんに危害を加えるって…。僕、それだけは許せなかった。この手で分からせてやりたかった…。今までずっとあのやり方で懲らしめてきたから、今回も大丈夫だと思って…。ちょこっと怪我したけど、賢史さんが助けに来てくれた時は殆ど終わってて…」
百目鬼「…」
マキ「あっ、怒らないで。あの時の報告だから、僕のその考えが間違ってるっていうのは、奏一さんに散々言われたから…反省したし、今もしてる…」
百目鬼さんは左手を強く握りこんだまま、その怒りを溜め込んでる。
マキ「…百目鬼さん、僕と付き合わなきゃよかったって思ったでしょ?ごめんね」
百目鬼「!…」
マキ「百目鬼さん…ずっと辛そうだったもんね…、僕とSEXした後、必ず後悔してたもんね。ごめんね、エッチな子で…」
百目鬼「ッ…」
マキ「でもね、百目鬼さん、僕が誘わないとあまりシたがらないでしょ?」
百目鬼「…」
マキ「あれ、よくないよ。百目鬼さん気づいてないみたいだけど、普段もあんまりオナニーしないでしょ、百目鬼さんみたいな溜まりやすい人はこまめに発散しないと」
百目鬼「おい、なんの話をしてる」
初めてまともに合ったその瞳は、苛立ちと羞恥に染まってた。
マキ「百目鬼さんがずっと悩んでた事の答え」
百目鬼「は?」
マキ「百目鬼さん、普段から仕事や人間関係から私生活まで、自分の中のスイッチをオフにするのが出来てない。だから爆発しやすくなっちゃうんだよ。ストレス。フラストレーションが溜まってるの」
百目鬼「ストレス?フラ…?」
マキ「百目鬼さん、やりたい事も言いたい事も、変に我慢する癖があるでしょ。きっと、それは小さい頃から自然とやってた事だから自覚がないのかもしれないけど」
百目鬼「は?なんの話だ、お前の言いたい事はコレなのか?」
マキ「うん、ずっと言わなきゃいけなかった。だけど、黙ってた」
百目鬼「意味が分からない」
マキ「言わないで済むなら、そうしたかった…」
百目鬼「…だったら言わなきゃいいだろ」
ムッとした百目鬼さんに睨まれ、僕の心は針の筵。でも、言わなきゃいけない。
マキ「ううん、言う時が来たから言う。僕がその役割を果たせてたら言う必要なかっただけだから…。僕が、〝百目鬼さんの癒し〟になれてたら、言わなくて済むって思ってた事だから…」
百目鬼「??」
マキ「百目鬼さん、僕、百目鬼さんと出会えて幸せだった。百目鬼さんほど素敵で可愛い人他にはいない」
百目鬼「なッ?!」
マキ「お願い聞いて!」
百目鬼「…」
マキ「百目鬼さんはちゃんと人を愛せる。好きになった人を大事にできて幸せにできる。だって僕は、ずっと幸せだった。百目鬼さんの側にいて甘やかしてもらって、抱き合える事が嬉しかった。百目鬼さんは乱暴したって落ち込むけど、そんな事ない、それに、泣かしちゃうって言うけど、SEXする時のルールなんて、その二人で決めていく事だよ。SMとかだって、異常な事じゃない、相手に同意があって、利害が一致してれば、それがその二人の愛し合い方だ。
100人いれば100通りの考え方があるっていうでしょ?なら、100人いたら100通りのSEXがあってもおかしくないでしょ?僕は百目鬼さんのやり方も百目鬼さんのも凄く好きだし相性もいいと思ってる。……。
百目鬼さんは…僕とじゃ…合わなかったのかもしれないけど…。
僕は、本当に百目鬼さんとのSEXに不満なんて一つも無い、むしろ、あんな情熱的に抱いてくれるんだって嬉しかった。束縛も可愛くて、嫉妬とか嬉しいし、もっとして欲しかった。ずっとずっとあれこれ考えて、こうしなきゃ、ああしなきゃって、普通の恋人みたいな事しようって、大事にしたいって言ってくれるのは嬉しいけど…、僕は、ずっとずっと言ってるじゃん、百目鬼さんが好きなんだ、今の百目鬼さんのままでいい、頑張ってる百目鬼さんが好きだって、そのままの百目鬼さんと向き合いたかった」
百目鬼さんは僕に素直になれって言うけど、百目鬼さんはずっと、僕に素直な姿を見せてくれなかった。
百目鬼「…」
マキ「…でも…、百目鬼さんはちっとも信じてくれない…。ううん、百目鬼さんが本当に普通がいいならそれでもいい、僕も普通になるようにする。だけど、仕事も頑張って、人間関係も頑張って、頑張って頑張って、さらにプライベートも頑張って。じゃあ、いつリラックスするの?人間は機械じゃないんだ、息抜きしなきゃ!」
百目鬼「俺は…」
マキ「百目鬼さんは、過去の罪を背負ったと同時に、何もかも否定しちゃってる。過去の罪と性癖やSEXの仕方は別問題だよ。百目鬼さんはちゃんと分かってる、何をしちゃダメなのか、もうちゃんと分かってる。僕は付き合ってから百目鬼さんにキレられた事なんかないもん」
百目鬼「キレたろうが、毎日!毎回!キレてお前の事…し…」
マキ「失神したこと?そりゃあんだけイカされたら失神もするよ、ハッキリ言って百目鬼さんのSEX上手いうえに大きくて良いとこグリグリすんから、良すぎて失神くらいするよ」
百目鬼「あ!?」
マキ「あんなのキレたうちに入らないよ。僕とシててキレたことあるとすれば、最初の一回だけ。僕と初めてシた時だけだよ」
百目鬼「そんな訳ない」
マキ「どうして?実際にSEXした僕が言ってるんだよ」
百目鬼「お前は俺を慰めようとしてるだけだ」
マキ「慰めで何回もイッたり、失神したり出来ないよ。僕、これでも100人くらいとSEXしたことあるんだよ、その僕が、百目鬼さんのSEXはまともな方だって言ってんだよ?」
百目鬼「ッ!100!?」
マキ「中には本当のSの人としたこともある。言葉で罵るだけじゃ物足りなくて、殴ったり首絞めたり、中には血を見るのが好きな人もいた」
百目鬼「ッ!!」
マキ「だから、相手を泣かしたいなんて言う百目鬼さんのSEXは全然可愛い方だ。しかも、それを自覚して、相手を大切に抱きたいって変わりたいって思ってるんだから。
僕だったら、受け止められると思ってた。百目鬼さんの悩みも、性癖も…。経験豊富な僕なら、なんとか百目鬼さんの心をほぐせるって…、そしたら…、答えを教えなくても済むと思ってた…」
だけど…
できなかった…
マキ「…我慢ばかりしてないで、少しは好きなようにしなきゃ、そしたら自分でも分かるよ、キレたりしてないし、これから先キレることはないよ。SEXだけじゃない。普段も仕事も、もっと仲間や友達と話をしなきゃ、百目鬼さんは一人じゃないんだから、もっと相談したり、飲みに行ったりした方がいいよ。口下手だからで済ませるのは百目鬼さんの悪い癖、このままじゃ、百目鬼さんを心配する矢田さんが心配しすぎで過労死しちゃうよ」
早く教えてあげれば良かったね…
百目鬼さんの悩みは、治せるんだって…
マキ「…百目鬼さんは、僕といると、どうしても、修二との過去を思い出すんでしょ?」
百目鬼「…」
罪。
罪悪感。
マキ「修二の友達の僕とじゃ、やっぱり、無理だった…?。僕といると百目鬼さんは益々百目鬼さんらしくはいられずに自分を責めちゃうんでしょ」
百目鬼「…………………」
答えなくても分かる。
その事でずっと苦しんでた事…
マキ「…百目鬼さん…、聞いていい?
ずっと聞きたかったけど…
聞けなかった事…」
白黒つけずにいれば傷つく事はないから
聞かなかった……
マキ「……可能性が無いなら…、答えなくていいよ。でも、ほんの少しでもあったなら、教えて欲しい…。ずっと聞きたかった…言葉にして欲しかった…、それが、存在するなら……」
この言葉を聞かなきゃ進めない
マキ「僕は、どんな百目鬼さんも好き。百目鬼さんにとって寄っかかってもらえる存在になりたかった。1番になりたかった。
百目鬼さんは僕の事……、
ほんのちょっとでもいい…、好きだと言える瞬間はあった?」
どんな答えも受けいれる。
そのために、むつに待ってもらった…
マキ「本当の僕を見て、可愛がりたいだけでも、笑顔を見てみたいだけでもなくて、……〝恋〟は芽生えましたか?」
百目鬼「‼︎‼︎……」
マキ「僕はどんな言葉も信じる。あの時言えないって言った気持ちは、付き合った半年間、百目鬼さんの中で生まれましたか?」
付き合う時に百目鬼さんが言ってた。
〝今は〟好きだと言えないと…
僕に恋愛感情は芽生えましたか?
僕に、恋してくれましたか?
マキ「一度も言ってくれなかったのは、本当の僕を、好きにはならなかったから?」
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