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3〔裏番外〕ゆくえ……
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アルバムと書かれた段ボールの中には、〝茉爲宮優絆へ〟と書かれた封筒が一つ入っていて、あとは大きく立派なアルバム数冊と、小さなアルバムが入っていた。
茉爲宮優絆の生後1週間を始まりに、綺麗に整理され、一言メモ付きで丁寧に写真が収められていた。
クオーターのマキは、かなり外人色の濃い髪と綺麗なジュピター色の瞳をしていて、純日本人ではないのは一目瞭然。むしろ今より幼い時は外人の赤ちゃんのように見えた。
赤ちゃんの時の写真は、何かあっては写真があり、〝初めて笑った〟〝初めての夜泣き〟〝初めて庭に出た〟〝初めてのオモチャ〟などなどいい写真がいっぱいで、茉爲宮優絆がとても愛されて育ったように見える。
どれも清史郎が撮ったんだろう、写真は殆ど茉爲宮優絆が1人で映っていた。
時折、幼少期の成一と頼子さんと書かれた女性が優しい顔で茉爲宮優絆を抱っこした写真があり。誕生日などの節目には、スタジオで撮ったあろう写真で茉爲宮優絆と清史郎の二人で写ったものがある。
茉爲宮優絆は月日が経つにつれ、綺麗に成長していく、髪は常にロン毛で肩まであったので、まるで女の子みたいに可愛く、外国人の色が大人っぽくより綺麗に魅せていた。
成一は茉爲宮優絆が小学校に入るまでは、仲よさげに笑って写真に写っていた。
しかし、小学校入学したあたりから、成一が一緒に写るものは無くなる。茉爲宮優絆は同じ家に住みながら成一とは違う私立の学校に通っていた。
茉爲宮優絆の実父に至っては、一回も写っていなかった。
そして小学1年生の夏あたりから、茉爲宮優絆の笑顔は、大人びたキレイな笑顔で写り出していた。
俺と出会った頃のマキがしていたヘラヘラしたいた作り笑い。それの元は、すでに小学生から始まってたようだ。もしかしたら、この時、成一に愛人の子供だと聞かされたのかもしれない。
ロン毛で女の子みたいな茉爲宮優絆は、小4あたりから、次第に、恋するキラキラする瞳で写るようになっていた。
恥ずかしそうに照れてたり、花咲くような笑顔だったり、甘えたような可愛い顔で写ってたり。
茉爲宮優絆が清史郎に恋心を抱いていたのがよく分かる写真だった。
小4の茉爲宮優絆は、小4の男の子にはとても見えず、綺麗で可愛いハーフの女の子の様だった。
マキ「ナニしてるの?……」
突然、無機質な声が飛んできた。
アルバムから顔を上げると、寝室の前にマキが立ってこちらを見てる。
いつもだった寝ぼけた声でふにゃふにゃしてるのに、今のマキは感情の無い眼差しでアルバムを広げる俺を見ていた。
百目鬼「…お前が寝てる間に荷物が届いた、アルバムが入っていたから勝手に見せてもらってる」
あえて普通に答えた。
するとマキは、「ふーん」と言っただけで特に何も言わない。ただ、その表情は読み取れない無機質なもの。
百目鬼「清史郎さんから手紙が入っていたぞ」
マキに封筒を渡すと、マキは直ぐに封筒を開けて中身を見た。マキは、ふふっと小さく笑い、手紙を封筒に戻す。
百目鬼「なんて書いてあった?」
マキ「……。写真の事。家族写真以外全部ここに入ってるって、デジカメのチップから何から全部。家族写真は、持っているのを許して欲しいって。僕は別に気にしないのに」
そう言って、マキは、小さいアルバムを取り出して中を確認する。
小さい方のアルバムはまだ見てなかったので、何が写ってるか聞いてみた。
マキは、ヘラヘラ笑いながら、小さなアルバムを背中に隠す。
マキ「ふふっ♪百目鬼さんはこの写真見ないほうがいいと思うよ♪」
百目鬼「何故だ」
ヘラヘラしやがるし、名字呼びに戻ってやがるし…
マキ「何故って、絶対怒るから♪」
百目鬼「見てみなきゃ分からないだろ」
マキ「ふふふ♪見ないで捨てたほうがいいと思うよ♪、清史郎さん馬鹿正直に寄こさなくても僕はなんとも思ってないのに。百目鬼さん、清史郎さんに何か言ったの?」
百目鬼「何かって?」
マキは、ヘラヘラ可愛く無い顔して、俺を見る目が無機質な感情の読み取れないものに変わった。
マキ「…僕の過去を調べたんでしょ?」
ドッと心臓が鳴って、手に冷や汗が滲む。
泉や先生様が昔言っていた。マキに嫌われたいなら、マキの過去を調べればいいと…。
でもそれは、付き合う前の話。
マキは、初めて俺と過ごした誕生日で、過去について簡単にだが教えてくれた。
だが、アレは一部に過ぎない。
マキは、過去について何一つ思い出話をしないし聞いてもはぐらかして話しをしたがらなかった。
それに今回、成一からマキを切り離すために、先生様に情報提供をお願いした時、先生様から、マキが先生様と出会った時の症状を聞いていた。SEX依存症だということ、不安から睡眠障害になってることなどなど、今も引きずってるものと、今は良くなって消えたものと…。
清史郎はかなりマキに執着していて、マキの症状を突きつけなければ、素直に執着を辞めそうに無かった。
短期の強行手段だったために、マキに許可なく過去を調べたのは確かだ。
誰だって、過去を勝手に覗かれたら、嫌な気持ちがするだろう。
百目鬼「…勝手に聞いて回ってすまない。言い訳だが、お前を取り戻すのに必死だった」
マキ「ふふっ♪僕別に怒ってないよ♪どうせ話そうと思ってたし……。……」
ヘラッと笑ったマキが、何か言いたそうにしてる。そして、今更思い出した。
百目鬼「言っとくが、先生様から色々聞いたが、だからって俺はなんとも思ってないぞ。俺はお前に合わせてやるほど器用じゃねぇし、気も効かねぇ」
先生様がアドバイスくれたのを忘れていた。マキは、SEX依存症だと俺に知れたら嫌われないか相談しに来たと…。
マキ「…ウフフ♪百目鬼さんは、不器用だけど、気が効かないとかじゃ無いよ、〝優しい〟もの♪」
百目鬼「さぁ、背中に隠したもの見せろ」
ズイッと手を出すと、マキはニコニコしながら可愛らしく小首を傾げる。
マキ「怒ったりしない♪?」
百目鬼「分からん」
マキ「怒らないって約束してくれなきゃ見せなーい♪」
百目鬼「じゃあ、怒らない」
マキ「ふふふふ♪本当かなぁ♪」
百目鬼「本当だ」
マキ「約束だよ♪」
百目鬼「約束だ」
マキ「ふふ♪これは、僕が楽しんでやってたことだから、怒っちゃダメなんだからね♪♪」
マキはヘラヘラヘラヘラ気色の悪い作り笑いで、何度も怒らないと約束させてやっと小さなアルバムを俺に手渡した。
俺は約束しながら、すでにめいいっぱい眉間にシワを寄せて、小さなアルバムを開いた…
百目鬼「はぁあッ!?なんだこりゃ!!」
驚きと怒声混じりの声を響かせて、小さなアルバムのページを捲っても捲っても現れる写真に、俺は怒鳴った。
百目鬼「全部スカート履いてるじゃねぇか!!!!」
写真の中の茉爲宮優絆は、小学低学年くらいから、一枚一枚違うスカート姿で、女の子みたいな仕草で写っていた。
マキ「もー♪。だから怒っちゃイヤ♡って言ったのにぃ♪ふふっ♪僕って超可愛いでしょ?♪」
マキの女装は、どうやらここから来ていた。
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