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晩餐④
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「あぁ、そうか。君は、ここ、初めてだもんな。ここは、こういう所なんだよ。至れり尽くせり。欲しいものは、呟くといつのまにか出てくるんだよ。」
笑いながらそう説明する夏樹に促されてコウタもテーブルにつくと、夏樹がシャンパンをグラスに注いでくれた。
小さく浮く上がってくる泡がキラキラと光っている。
「誕生日おめでとう。」
クラスを持ち上げる夏樹の笑顔も、キラキラしている。
「…ありがとうございます」
「もっと、嬉しそうにしろよ。二十歳だろ?酒も解禁だ。」
「…はい。 …あの 湊さんは?」
「あいつは… 今夜は無理かな。明日の朝には会えるよ、多分。今夜は、俺たちふたりだけだ。俺じゃ、嫌か?」
夏樹さんが、肩をすくめて笑った。
夏樹さんは、嫌じゃない。
でも、やっぱり湊さんがいなきゃ嫌なんだ。
コウタは、シャンパンをほんのちょっとだけ飲むと、グラスをテーブルに置いて、うつむいた。
「まぁ、ほら…。食おう。ここの料理は美味しいんだよ。それに、メニューは湊のセレクトだ。」
湊さんのセレクト…
そう知ったら、目の前に並べられたものどれもが、何倍にも美味しそうに見えてきた。
よく見ると、皿に盛られた料理は、どれもコウタが好きなものばかりだ。
コウタが料理に手を伸ばすと、夏樹はホッとしてシャンパンを飲み干した。
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