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「おーい!中島!
昨日作った資料持って、取引先!」
もう既に、扉の前で立っている片瀬さんに呼ばれ
デスクの上にある封筒を慌てて鞄の中に入れ急いで向かう
最初の半年は、新人の俺に教育係として交代で先輩達が面倒を見てくれるのが決まりだ。
その時の担当の先輩に付いてまわり、サポートしながら色んなことを学んでいく。
今回は片瀬さんについて行っていた。
「はい!今行きます!」
入社してから1ヶ月弱
先輩について取引先を回るようになって2週間ほど
まだまだ慣れない事ばかりだ。
最初はあんなにチャラチャラしていた片瀬さんも
仕事となったらやっぱり別人のように出来る男で
篠原さんが、仕事だけはできるって言ってた意味がよく分かる
結構容赦なく、振り回されていた
「わっ!!!」
バタバタと扉の方へ駆け出そうとすると、目の前にスッと手が伸びた。
突然の事に対処しきれなかった体が、前のめりに止まる
藤堂さんだ。
ーー危ない、転ぶとこだった
両手が掻き集めた荷物で塞がっているため、転んだら受け身が取れない。
心の中で冷や汗を流しながら、なんとか踏み止まって安心していると、
「こら、
どんなに焦っててもドタバタしない、走らない。
常に冷静に対処しなさい 」
初めに教えたでしょう?
急いでもいい事ないわよ?
と、あの綺麗な顔でウインクされる
「す、すみません …!」
片瀬さんの前、一番初めに教育係だった藤堂さん
仕事内容や、簡単な事務作業などに合わせて営業での基礎知識も教えてくれた
いつだって冷静に、きちんと頭で考えて
要領よく仕事をこなすタイプの人だ。
口喧嘩は絶対にしたくない人
「それに、初めは慣れない事ばかりで出来ないのは当たり前だし、大抵の事は冷静に落ち着いて仕事が出来るはずの中島くんをこんなにも焦らせるって
指導してる人の問題じゃないかしらーーー???」
俺には優しい藤堂さんも、
明らかに俺に対してではなく、遠くの出入口の方へ向かって、わざわざ聞こえるように大声を出した。
先輩後輩関係なく、こう言う嫌味を言われるのは決まってあの人だ。
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