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フィルター掃除のしかた(2)
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水槽の掃除は、毎週末やろうと決めていた。さっそくバケツやホースを用意していたところ…
ザパァ
水槽からまこちゃんが出てきた。3回目ともなると、驚きもあまりなくなってきている。
「ねーまこちゃん、その毎回マッパで出てくるのなんとかならないの?」
「ならん」
「あーそう…」
俺の服を着たままなまずに戻って、真っ裸で出てくるから、結果的に俺の服が1セット消失してるんだけど。
「今日はお前に新たな仕事を教えに出てきたぞ」
「今日は、というか今日も、じゃん」
「何か文句があるのか?」
「ありません」
「よし。…あ、その前に身体を乾かさないといけないんだよな」
まこちゃんは自らタオルを手に取り、身体を拭き始めた。ペットの成長をこんなにわかりやすく感じられるとは。
髪の毛をタオルでぐしゃぐしゃっとした後、まこちゃんは腰に手を当て偉そうに命令した。
「フィルターを掃除しろ」
「フィルター…って何?」
そんなことも知らんのか、と言いたげな目で、まこちゃんは水槽の上部についている機械を指差した。
「これだ。まことが取り付けたのは、上部フィルターというタイプだな。水やゴミを吸い上げて、この上のところでろ過して、きれいになった水を水槽に流すというやり方だ」
「ふーん…こんなのどうやって掃除するの?」
「壁と同じようにスポンジでこすったり、ろ材を取り替えたり、モーター部分を取り外して内部をきれいにしたりする。どうだ。めんどくさいだろう?」
「めっ、めんどくさい…って言っていいの?」
「大丈夫だ。フィルター掃除は月に1回程度で足りる。それならめんどくさくないだろう?」
「えっ。う、うーん…」
なぜかどや顔のまこちゃんには言いづらいが、月に1回でも十分めんどくさい。それってつまり水換えの4回に1回はフィルターも掃除しなくちゃいけないんだろ?
「ほら、わかったらさっさと掃除しろ。フィルターの説明書は水槽の下の棚にしまってあるから、不明な点はそこで確認するんだ」
「はいはい」
言われるがまま説明書を取り出し、フィルターの分解の仕方を見てみることにした。
しかし説明書を開いてみると………
「ん?どうしたんだ?つしま」
「何でもない!」
慌てて説明書を閉じ、後ろに隠した。
「まこちゃん、えーと…テレビでも見てなよ」
「は?テレビ?」
「う、うん。テレビを見るなまずなんて、世界初でしょ?」
「馬鹿にするな。水槽の中からいつも見とったわ」
「あー、そっか…」
「…まあいい。自分の好きな番組を選べるのは初めてだしな」
まこちゃんはチャンネルをくるくる変えて、新婚さんいらっしゃいを見始めた。なぜそのチョイスなのか。
まこちゃんがテレビに集中しているのを確認して、再びそっと説明書を開いた。そこには、誠からのメッセージがふせんに書かれて貼られていたのだ。
『祐太へ
これを見つけたってことは世話をしてくれてるんだよね?ありがとう。
トンテキを置いたまま家を出て行ってごめん。落ち着いたら必ず引き取りに行きます。
誠』
思わずため息が出てしまった。
どうしてこんなもの残していくんだろう。どこまでも律儀なやつ…。
とにかくこれはまこちゃんには見せられない。誠はしばらく外出している、という設定だからな。
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