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さんじゅーきゅう
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無事に教室から抜け出して、靴箱に着いた。周りには誰もいなくて、風の音がやけに響いて聞こえてくる。履き替えようと靴を取ろうとした時に落ちてきたのは、沢山の手紙...?
「どうしたんだ?...お前も大変だな。まぁ、仕方ねぇだろ。王族であるお前の妃になれば、と考えてる奴がいるんだから」
「俺、絶対結婚しなきゃいけないのかな。嫌なわけじゃないんだけどね。その子を幸せにしてあげられるか、自信ない」
つい口から出た弱音は、俺の本心だ。他人が向けてくる愛なんて、全くわからなかった。学生時代に付き合ってた元カノの1人に、"私がどんなに愛したって、あなたは私を愛してくれない..."って言われたのを今でも覚えてる。
あの時は、よくわからんかったけど今なら何となくわかる気がする。俺としては、誰も愛すつもりもなかったし、愛し方なんて全くわからなかった。
「なら別に、結婚なんてしなくてもいいんじゃねぇの?お前はお前だ。お前の事を決める権利なんて誰も持ってやしねぇ」
「...蒼介、なんかイケメンになったな。前絶対そんなこと言わなかっただろ。環境が変われば、人も変わるってこういう事なのかもしれないね」
車まで続く道を、二人で歩く。風が吹くたびに桜の花びらが、地面に落ちていく。入学式が懐かしいな。あの日もこんな天気だったっけな。
「おかえりなさいませ。晋夜様、蒼介様。陛下...皇帝が早く来るようにと仰せです」
こんな時に何があったんだろう。そういえば、聖夜が皇帝になったなら、海斗って帰ってくるのか?また、遊んでみたいんだよな。最近会ってなかったし、元気にしてるかな
「晋夜帰ってきたか。ちょっとこっちに来い。蒼介、お前もだ」
「なにかあったのですか?何故そんなに焦って...」
今は何を言っても無駄だろうと蒼介は感じたのか、俺の肩を引き寄せて、首を横に振った。それでも、と思ったけど、言うこと聞いといた方がいいだろうと思って、止めた。
「蒼介はなんで聖夜様があんなに焦ってると思う?お前なら分かるだろ?」
「なんで俺に分かると思うんだよもし俺が人の心を読めるとしても、あの人の心の中は見たくないものだな」
少し歩いていると、大きな部屋の前についた。その部屋は、後ろから付いてきていた真も知らなかったようで、口を開けてポーカンとした様子だった。
この部屋以外にも、俺が知らないとこってまだまだあるんだろうな。こんなに部屋があったって、何をするんだ。
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