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ひねくれ者の、
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「…さん、」
「ん…」
身体をつよく揺すられて呼ばれている感覚がしてまだ覚醒しきらない頭を必死に動かす
この声…
「伊澄さん!」
「…え、あ…かな、い?」
声がする方をぼーっと見つめれば心配そうな顔をした金井がいた。
そんな顔して何かあったのか、と聞きたいのに上手く声が出ない
なんか、あついし…これ、まずい
立ち上がろうとして、視界が回った
あ、やば、倒れる…
グラりと揺れる身体
受け身が取れないと悟り衝撃に備えて咄嗟に目を瞑る
「っ!伊澄さん!?」
「っ、」
しかし、予想していた痛みはいくら待っても来なかった
その代わり、俺の好きな匂いに包まれる。
これ金井の匂いか
「ビックリした…って、身体あつ!ちょ、っと待ってすぐ家入れるから」
「ん、」
少し身体を離されて匂いが薄くなる。
それが嫌で金井の首に腕をかけ擦り寄った
「もー!今そんな可愛いことしないで!ちょっと大人しくして!」
「ンー」
「あーもー!」
ガチャガチャと後ろで音がしていたと思ったら身体が浮いた。
抱き抱えられるようにして金井の家に入れられる
成人男性をこうも軽々と抱き抱えるなんてすごいな、と頭の片隅で考えながら他人事のように思う。
あー、なんだろな。
今ならなんでも出来る気がする
頭ボーッとするしだるいし身体のコンディションは最悪だけど
ゆっくりと背にあたる柔らかさと離れていく自身よりぬるい体温にベッドの上に降ろされたのだと気づいた
ちょうどクーラーの風があたるのか涼しい…
遠くなる背中を追いかけようと身体に力を入れてむりやり動かせば見事にそのままベッドから派手な音をたてて落ちた。
痛い、けどそれも言葉にはならない
「え!?ちょ、伊澄さんなにやってんの!?」
大きな音に振り向いた金井が瞳を丸くする
直ぐに俺に駆け寄り身体を起こしてくれる
なんか介護みたいだな
「水取りに行くだけだよ、軽い熱中症だとは思うけど…とにかく水分とらないと」
「…」
金井の服を握って声が出ないから首を振って否定する。
「ちょっとだけ待ってて?ね?すぐそこだから」
「…っ」
もう一度力なく首を振ればそっと手を剥がされた。
腫れ物に触れるみたいな触り方に不安になる
なんで、いやだ、置いていかないで
直ぐに見える距離と分かっているのにそれでも置いていかれることに不安になる。
と、
「、」
「大丈夫だから、そんな顔しないで。このままじゃもっと伊澄さんが辛くなっちゃうかもしれないから水だけでも飲んで?伊澄さんとちゃんと話すためにまずは伊澄さんが休まないとだめ」
「…。」
抱き締められた、と理解する前に身体が反応する
その温もりに、声に、従うように自然と頷いていた。
「ありがとう。すぐ戻るからベットで寝てて」
「…ん」
まるで子供にするように頭を撫でられ温もりが離れもう一度ベットに寝かされる。
視線で金井の背を追いながら大人しく戻ってくるのを待った。
金井は自分が言った通り冷蔵庫の中からミネラルウォーターのペットボトルを片手にすぐに戻ってきた。
蓋を緩めて飲める?とペットボトルを渡される。
口を付け水を含めば水分が喉を辿っていく
しばらくそうして休んでいると大分楽になってくる
金井も安心したように肩の力を抜くのが分かった。
俺にも少し余裕が戻ってくる
やっと落ち着いて整理してみるお、俺は金井を待っているうちに軽い熱中症を起こして気を失っていたみたいだ。
あのまま金井が帰ってこなかったらと思うとゾッとする。
帰ってきてくれて本当によかった
しかし、迷惑を掛けたな、せっかくちゃんと話に来たのに…
ため息を押し殺して何も言わない金井の様子を伺う
何か考えているようだけど今の俺には到底理解できなかった
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