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ぷいっと顔を背ける我妻に、相手は肩を竦めてみせる。…仕方ないな、と割り切った表情からして我妻のトンデモ行動には耐性が出来ているらしい。
女性店員が温かなおしぼりを持ってくる。流石の我妻も意地悪はせず、おしぼりを受け取って店員に礼を言う。少しばかり濡れてしまったスーツズボンのシミを拭い終わってから、二人は会話を再開する。
「…で、その部下君とは寝たの??」
天使のようにあどけない声で、際どい大人の台詞を発する伊月だった。…一方で我妻は、デコレーションし尽くされたメニュー表を開いて、中を吟味しつつ、重々しく唸り出す。
「…寝てねぇよ。ついでに、最後までしてない。」
「高校時代に僕と別れてから、身体の方は今までずっと風俗で済ませていた君が年下相手に食いつかないなんて、予想外だな。」
何にしろよかった、と伊月は空になったパフェのグラスにやけに細長い銀製のスプーンを投下する。グラスの縁に何度もスプーンの柄がぶつかり、硬質な音を立てた。
「思春期以降、色恋に恵まれなかった君がようやくゲイの男と結ばれたんだからね。」
ちょっと待て、と我妻は眉間に嫌というほど皺を寄せて反発する。伊月の指がお冷のグラスにかかる。
「…相手はノンケだ。だからこそ、最後までシなかった。…出来なかった、が正解か。」
お冷のグラスに口をつけていた伊月は、同期の告白を聞いて勢いよくむせぶ。酷くむせているようだから、途中から我妻は心配しだして、同期の背中を手で繰り返し撫でてやった。
「ノンケ??…おかしいな。相手からアプローチしてきたんだろ??で、君の嗜好は確か…。」
早口で捲し立てる伊月に、同期は僅かに瞳を伏せる。
「ネコだよ。…ノンケの奴が、酔っ払ったノリで、シャワーを浴びていた俺を襲ったんだ。」
伊月は数秒頭を抱え、シンキングタイムの果てに結論を出した。
「…奴は、最悪だな。」
「まぁ、悪い奴じゃないんだ。あの時はアルコールが入っていたし、ことの発端としては職場で俺が奴に厳しく接していたのが悪いんだ。」
伊月はテーブルに肘をつき、間近に迫って同期に訊く。
「その…襲われて最後までシていない、とは…??」
「お前、俺に対しての配慮はないのか。」
肩を落としつつ、我妻は周囲に聞こえないよう抑えた声で答える
「手コキと…擦り合いっこで二回シた。後は…あいつが寝オチした。でも、ノンケって感じとか記憶を振り返ってみても、挿れ…とかは考えてない風だった。多分、そもそもやり方を知らない。」
「なら、早い!!」
伊月は明瞭に喋り、同期の両肩を思いっきり掴む。我妻は肩を掴む相手の力強さに、ちょっぴり顔を歪ませる。
「…悪いことは言わん、京司。まだやり直せる。そいつとの夜は、一切合切忘れるんだ。」
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