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始まり
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僕の名前は池田陽(いけだはると)。志望校に合格し、今年の春、高校1年生になった。
今日は入学式。
桜も満開に咲き誇り、足元のコンクリートは桜色に染まっている
なんて清々しい日なんだろう!これはきっといい1日になるに違いない!
入学式も快調に進み、呼名でも「池田陽!」と呼ばれれば大きな声で「はいっ!」と返事をし、クラスでも人気者…素晴らしい高校生ライフを…送る、はず…
だったのに……………。
入学式の呼名では「ひゃいっ?!」と情けない声を出し、周りの人にはくすくすと笑われてしまった。
もともと通っていた中学とは離れた、県外の高校を受験したため、知っている者などいる訳もなく……。
入学式が終わり教室に向かう途中、廊下で男女二人が肩を寄せ合いながら仲良さげに会話をしていた。
只の会話で肩を寄せ合う必要はないと思うんだけど…。
あれが俗にいう「リア充」ってやつなのか…。
別に彼女が欲しい訳ではないけれど、友達だったらそれなりに欲しい。
朝、顔を合わせれば「おはよう」と挨拶を交わし一緒に下校する友達。
そんな友達が……欲しい。
…と、そんな事を考えているうちに教室についてしまった。
これから1年間、共に過ごす事になる人達がこの扉の向こうに居るんだ…。
怖い。
駄目だ。また繰り返すことになる。それだけはなんとしても阻止したい。
よし。
勇気を振り絞り扉を開ける。
教室に入ると皆が一斉にこちらを見た。
なんて痛い視線……。
自分の席に行く途中ひそひそと話している女子の声が微かに聞こえた。
「ねぇ、あの人、名前呼ばれたときやばくなかった?『ひゃいっ?!』ってさw」
「ちょっとやめなよw聞こえちゃうってw」
聞こえてますよ、お二人さん。
ていうか聞こえるように言ってる?
あーー、しんどい。帰りたい。
扉を開ける前の僕はもうどこにもいない。
下を俯き、その二人と目を合わせないように席へとついた。
やっちゃった。
あそこで僕が
「おや、お二人さん。何なに、僕の話?返事が変とか言わないでよw緊張してたんだってw」
とか言えたら何か変わっていたかもしれないのに……。
チャンスはもう来ない気がする………。
まぁそんな訳で、僕に話しかける人などいるわけがなく。
あーーーーー、終わった。
神様、どうやら僕の高校生ライフは1日目にして幕を閉じたようです。
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