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エドワードの憂鬱
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最近、研修生がやたらと目立つ。
「と、トンプソン様!おかえりなさいませ!!」
どうせシンガポールに引っ越すのだからと、マンションは早々に引き払い、ホテル暮らしを始めたが、時期的なものだろう。
非常に若いのがスタッフに入ってきた。
ネームプレートを見ると「研修生」
なるほど、季節は春。
学校を卒業して、すぐに新人研修というのは日本企業のよくある光景だ。
先輩スタッフとセットでホテルの入り口に立ち、荷物を受け取り、ポーターへと渡してくれる。
そのポーターも「研修生」だ。
外国人慣れしていないのか、いつも一瞬おろおろとして、真っ赤な顔で挨拶をしてくる。
「ヤア、コンニチハ。」
「こ、ここ!こんにちは。」
ううーん、大丈夫かな。
年齢を尋ねると18歳だという。
「high school、卒業シタテ?」
「そ、そうです!」
ふうん。
チラチラと見られるのは慣れている。
この金髪が珍しいのだろう。
エレベーターが開き、先に降りる。
ガタンッ!
振り返るとエレベーターの扉に「研修生」が挟まっていた。
ブハ。
笑ったら可哀想だが、可笑し過ぎる。
救出してあげるとヨロヨロと抱きついてきた。
「あ!!ごめんなさいッ!!」
ふむ。
真っ赤になりながら、鞄を運ぶ「研修生」をしげしげと眺めた。
「キミ、名前ハ?」
「まっ、松岡です!松岡晋作です!」
シンサク。
可愛い子だ。
覚えておこう。
この日は、名前を覚えただけで終わった。
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