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朝の習慣
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疲れて寝ていた。
会議が終わり、議事録に目を通してサインをした。
メールを確認し、風見サンとシンガポールでのサービスの導入について打ち合わせした。それからシンガポールに支店をもつ銀行の頭取とランチを共にした。
電力会社の支店長と次世代エネルギーについて大学教授を交えて討論を行い、引き続き大学の研究室に支援することを約束した。
シンガポールでの事業にも関わる大切な研究だ。
流石にクタクタになってタクシーに乗り込み、常宿のホテルのベッドに沈んだのが16時。
目が覚めたのが20時だった。
ハッとして飛び起きて携帯を確認すると、シンサクからの着信が残っていた。
慌ててタップすると、すぐに繋がった。
・・・よかった、元気だった。
晋作はエドワードの声を聞いて胸を撫で下ろした。
「エドワード様、お疲れだったんですから気にしないでください。」
『シンサクと逢ウタメニ帰ッテ来タノニ!』
もう家なのかと尋ねられて硬直した。
まだ、エドワード様のホテルのロビーの隅に座っていたからだ。
「ん、と。まだ着いてません。」
そう。
まだ、着いていない。
エドワード様が心配で、ホテルを離れられなかった。
どうしよう。
逢いたいけど、逢ったらエドワード様がゆっくり出来ないかも。
『ドコ?』
「え、と。」
ジレンマ。
「足元です。」
はて。
自分の靴を見つめた。
「アシモト?」
シンサクは不思議な子だ。
側に寄り添っているとでも言いたいのだろう。
「足元ジャ、物足ラナイ。キスして、触レ合イタイ。」
しかし、8時だ。
シンサクは明日は何時からのシフトだっただろうか。
「仕事ガ落チ付イタラ、一緒ニ暮ラソウ。」
「はい!」
エドワード様・・・。
今日、お泊りしてもいいのかな。
それとも、帰ったほうがエドワード様の為になるんだろうか。
「エドワード様、すきです。」
「アリガトウ。」
好きという気持ちがどんどん積み重なっていく。
でも、ふと思った。
エドワード様は、おれのこと、お好きではないのかも。
いちども、あいらぶゆーとは言ってもらってない。
不安になった。
「シンサク、明後日ニハ、シンガポールへ戻ル。ダカラ、明日ハ必ズ逢イタイ。」
「はい。」
また、行っちゃう。
おれの手の届かないところに。
逢いたい。
でも、怖い。
ただの気まぐれなら、どうしよう。
「ソロソロ、着イタカ?」
あ。
「はい。」
ロビーで天井を見上げた。
側にいるのに、エドワード様が遠い。
「明日ハ、何時ニ終ワル?」
「5時です。」
真っ直ぐおいでと言われた。
出来れば、泊まって帰るようにと言われた。
ああ、おれ、不安です。
エドワード様は、おれのことをお好きなのでしょうか。
怖くて聞けなかった。
「ジャア、オヤスミ。」
「おやすみなさい。」
通話の切れた携帯を手に、晋作はそっとため息をついたのだった。
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