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03-09
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「…っくく、かーわい」
「っあぁ…ッ?!ん、ぁァ…っ!」
「…っと……?」
椿が喉を鳴らして笑う。先よりも比べ物にならないくらい甘い声で囁かれる。そこでぷつんと何かの糸が切れる音がした。
自由の利かなくなった操り人形のように腰から下に力が入らなくなって、ずるずると体がその場で崩れ落ちていく。けれども俺はどう言う訳か床に膝を付くことはなかった。いつの間にか股の間に入っていた椿の脚が俺の体重を支えていたのだ。スーツの上からじゃあ分からなかったが案外こいつの脚は筋肉質でがっちりとしていて、俺の体は安定する。
「あらら…、砕けちゃった?耳だけで?」
「っひ…?!」
「…………敏感過ぎるのも考え物だな」
完全に体重を預けきっている俺に椿が苦笑する。ぼそぼそと呟いていたことは聞こえなかったが、耳を弄ってこなくなったから一杯一杯な俺を見て止めてくれたんだと、そう思って安堵した。
――しかし、よくよく考えて見れば屑野郎が止めてくれる訳もなくて、その安堵も束の間であった。突然、椿の脚が勃ちかけている俺のモノをグニ、と押し上げた。最初はただ楽な体勢に変えたかったんだろうと思った。けれどどうやらそうでは無いらしく、椿は俺の体重が乗っかっている脚を何度も揺らしてきた。ゾクゾクと背筋に甘い痺れが走る。俺の体重がある分、椿に脚を押し付けられているようで。そんで、太ももが丁度俺のに当たって、強すぎる刺激に脚が震えた。
「ぁ…っ、や…脚…っで、すんなぁ…!」
「やばぁ…、超可愛いお前。クク…、俺のに硬いの当たってるけど?」
「…っさ、ぃ……!!だま…っあぁ、ぅ」
何とかして逃れようと、脚に力を入れて立とうとするも、途中力尽きてごつん、と椿の脚にぶつかってしまう。全然力が入っていない壊れた玩具みたいな動きを繰り返す俺に椿は笑う。そんで俺に、―俺だって分かっているのに―勃ってしまったソレの存在を知らしめてくるかの如く、足で揺さぶる。俺が言い返そうとすればそれを遮るようにぐにぐにと脚を擦りつけられ、びくっ、と体が跳ね上がる。下半身だけじゃなくて上半身にも力が入らなくなってきて、やるだけ無駄だと頭のどこかで分かっていながらも嫌だ嫌だと椿の胸を押し続けた。
―嗚呼、糞。何でだよ。何で、感じてんだ俺―
椿に――男に、女みたく扱われんのは嫌で嫌で仕方ない。それに糞野郎にこんなことされているんだ。気分は最悪で、吐き気すら催すのが普通だろう。感じる所の話じゃあないに決まっている。なのに、俺はそうじゃない。前ほど嫌ではないだけじゃなくて――密着し、伝わる熱。甘い声。快感。それらに身を委ねそうになっている自分がいる。心地良いどころかこいつに触られる度に拒絶感が薄まっていっていることが、鍵をかけた"俺の世界"に受け入れそうになっていることが一番理解出来なかった。
もっと抵抗すりゃあ良い。下の階に聞こえる位の音量で怒鳴っちまえば良い。そう、身体に訴えかけても全く言うことを聞かない。自分のことなのに理解出来なかった。この矛盾が、まるで見えないナニカに自分を侵されている気分にさせる。
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