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黒い影
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朝のホームルーム後――
タケルは廊下から聞こえる会話を何気に耳にした。
「それ誰にあげるの?」
「高支那先生にあげるんだ」
「へぇ~。高支那先生、カッコイイもんね」
「うん。これから渡しに行ってくる」
「頑張って」
「ありがと」
どうやら他のクラスの女子生徒のようだ。
今日は女の子たちにとって、待ちわびていたバレンタインデー。
チョコレートを手にした生徒が嬉しそうに駆けて行く後ろ姿を、少し不安げに見つめるタケル。
だがすぐに顔を引き締めると、迷わず彼女の後を追ったのだった。
――北校舎3階の一番奥。
高支那の個別室がある前の廊下までやって来たタケルは、静まり返ったその場の空気になぜか緊張する。
すると、いきなり目の前の扉が開き、先程の女子生徒が泣きながら飛び出してきたものだから、タケルはひどく驚いた。
女子生徒はタケルに気づきもせず、そのまま走り去っていく。
と同時に、それを呆然と見送っていたタケルの背後から、低く冷めた声が響く。
「盗み聞きか?」
――高支那だ。
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