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渡辺side‥₂
「……そんなんで、いいの?」
氏原ちゃんが驚いた様に聞き返して来る。
氏原ちゃんにとっては、”そんなん”でも、ウチから
してみれば、すごく大きな事なんだよ。
彼氏欲しいとか、そんなノリで言えちゃうようなのじゃなくて”親友”がほしい、だなんて
こんな事、恥ずかしくて言ったことないし。
心臓ばくばくして煩いんだけど。
氏原ちゃんから返事が来ないのを不思議に思って、赤い顔をどう誤魔化そうか考えつつ
氏原ちゃんの方を見た。
「……え、ねぇ氏原ちゃん顔真っ赤なんだけど…」
「……………煩いばか。てかそんな事言われた事無いし。
…ぼ、僕も…なりたいと思ってた…か、も?なんて…」
思わぬセリフに言葉を失った。
まさか、氏原ちゃんまで同じ事思ってたなんて。
「…なんかウチらちょっと似てない?」
「それな?」
2人、顔を見合わせて笑う。
「あ、あのウチの名前は――」
「こころちゃん。でしょ?
毎日健康管理表見てるから知ってるよ。
…改めて、
氏原幸人です。よろしくね、心ちゃん。」
ウチより大きな、高木っちより小さな手を
差し出されて、恐る恐るその手を取る。
「んっと……ゆ、ゆきとちゃん?」
「それオネェみたいだから却下。」
「じゃあ、ゆきちゃん!」
「ちゃんは安定なわけ?…まぁいいけど。」
「じゃあ決定ね?」
「はいはい。」
思い切り手を引っ張って身体を引き寄せると、一瞬
ビックリしたみたいだけど”ゆきちゃん”はウチに
身を任せてくれて、そのまま額同士を合わせた。
男の人とこんなに至近距離になった事はないけど
ゆきちゃんなら恥ずかしいとか嫌だとかそういうのは無かった。
そこでまた、溢れる笑い。
今日、ウチに初めて親友が出来ました。
いつもは大人で余裕そうだけど
本当は意地っ張りの恥ずかしがりやで意外と涙もろい
保健室の先生。
「っは。ゆきとちゃんは流石にやべーwww」
その時ガチャリと音を立て、入ってくる人物。
2人の世界を断ち切ったのは、この意地悪に笑う声。
聞き慣れたそれに2人同タイミングで扉の方を見た。
「仲直り成功か?」
そこに立っていたのは、さっき保健室を出て行った
高木っちで、時計を見たらあれから20分くらい経っていて
そりゃ、それだけあったらタバコくらい吸い終わってるはずだよ。
いつから戻ってたんだろう。
いや、それよりも…。
ウチの食べかけの弁当の横にある
もう1つの包みが目に入って
急に緊張してきた。
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