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「え……?」
まるで硬いもので頭を殴られたかのようにガン!と音がして思考が停止する。
ーーいま、父さんは何て言った?天清と会うな?…そんな…、必ず帰ると約束したのに…?やっと想いが通じたのに…?
「な、なんで…?天清は関係ないじゃん!」
肘置きに置いた手を見つめながら、僕は震える声を出す。
父さんが、僕の手を強く握って「悪いな…」と呟いた。
「今回のことで、天狗一族と妖狐一族は険悪な仲になった。あの場で殺し合いまで発展しそうだったのを、僕と向こうの当主が何とか止めたんだ。だが、お互いを憎む気持ちが出来てしまった。…少なくとも暫くは、我々が和解することはない」
「そっ、そんな…」
「青藍、学校も辞めるように。あと9ヶ月もすれば、おまえは人間の高校に行くんだ。今の実力でも充分に合格出来るのだから、ここで勉強すればいい」
「えっ?そんなの嫌だっ!学校に行かなくなったら、友達にも天清にも会えなくなる…っ」
「天狗の友達にはこの郷で会えるじゃないか。今回のことで子供達まで縛るつもりは無いから、皆はそのまま学校に通ってもらう。だがおまえはダメだ。おまえは皆と立場が違う。いずれは一族を背負う身のおまえが、我が一族に刃を向けた妖狐と仲良くしては示しがつかない。だから、天清とは会うな」
僕は、肘置きに置いた手に額をつけて、ポタリポタリと畳に落ちる雫を、ただぼんやりと見ていた。
肩を震わす僕の頭を撫でながら、父さんが小さく溜息を吐く。
「…青藍、ずっとと言うわけではない。いずれは和解する日が来る。だがそれは、俺の代なのか、おまえが引き継いだ後になるのかは、わからない…」
僕はズズッと鼻をすすると、涙で滲む目を瞬かせて顔を上げて聞いた。
「そもそもなんで、父さんが襲われたの?」
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