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「銀おじさん!凛!」
「父さんっ!」
僕達と男の間にゆっくりと地面に降り立った四人を見て、僕と天清が声を上げた。
「青藍、大丈夫か?」
「倉橋っ!それ…っ、怪我したのっ?」
「天清っ、無事か?」
銀おじさんがチラリと僕を見て、凛と天清のお父さんの清忠さんが、駆け寄って来る。
男と対峙する銀おじさんの隣で、浅葱が渋い顔をしていた。
「銀様…、俺、やっぱり来たくなかったっす…。なんですか?この嫌な空気は…」
「おまえは鉄の側近だし青藍の教育係でもあるだろうが。文句を言うな」
「でもですね、俺は争い事は嫌いなんですよぅ」
「知るか。無駄口叩いてる暇はないぞ。ほら見ろ、あいつ、こっちを睨んでる」
「え…?ほんとだ、怖っ…」
「はあっ、軟弱者め」と溜息を吐いて、銀おじさんが、男から目を逸らさないでよく通る声を出した。
「狐の神使、あんたは大人しく見てろ。倉橋を悲しませたくないだろ?それから、おい清忠。天清は、おまえと違って優秀だ。心配などいらん。だから早くこっちへ来い」
「相変わらず人…狐使いの荒い…」
ブツブツと文句を言いながら、清忠さんが銀おじさんの隣に並ぶ。
凛もそちらへ行こうとして、銀おじさんに止められた。
「凛は来るなよ。そこで大人しく見てろ」
「…わかった。無茶しないでよ」
唇を尖らせて渋々頷く凛が、とても可愛い。
緊迫した中なのに、ほっこりとした気持ちで凛を見ていると、男が高揚したような声を上げた。
「へえっ!すごいなっ!強い力の妖が、こんなにいたんだっ?やべえっ!俺、あとどんだけ戦わなきゃダメなんだっ!?」
無言で聞いていた銀おじさんの身体から力が溢れ出し、強い風となって周囲に吹きつける。思わず顔を逸らせてしまい、すぐに戻すと、瞬時に動いた銀おじさんが、男の手から短剣を叩き落としてこちらに蹴り飛ばした。
男が片手で印を結んで、銀おじさんの胸へと突き出す。銀おじさんは、咄嗟に翼を出して上空へと逃げた。
「くそ…っ。なんだ?銀色の…翼?」
「そうだっ。神々しいだろ?どんな理由があるのか知らないけど、おまえが敵う相手じゃないよ」
なぜか浅葱が、得意げに胸を張って偉そうに言う。
バサリと翼を広げて降りて来た銀おじさんに、「浅葱」と睨まれて、浅葱はそそくさと凛の後ろに隠れた。
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