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僕の隣で、大丈夫だからと言ったのに僕の肩を支えていた天清が、いきなり大きな声を出した。
「ごめんなさいっ!謝るなら俺ですっ。青藍は、俺を庇って怪我をしたから…っ。俺の気が緩んでいて危険を察知出来なかったから…っ。俺のせいです!青藍のおじさん、おばさん、本当にごめんなさいっ!俺、どんな罰でも受けますっ!」
「な…っ?天清は関係ないよっ。僕が勝手にしたことなんだからっ!」
「違うっ!俺はいつも口では青藍を守ると言いながら、一度も守れたことがないんだ…。だから…」
「天清くん、青藍の言う通り、君が謝る必要は無いよ。今回のことは、青藍自身の責任だ。だからもう気にしなくていい」
父さんが前に出て来て、天清に向かって静かに言う。そして僕の肩をポンと叩くと、小さく笑った。
「おまえの元気な顔を見て安心したよ。でも、あまり無理はするなよ。倉橋さん…でしたか?青藍が大変お世話になりました。後日お礼に行かせてもらいます」
「え?いや、そんな…っ。とんでもないです。青藍くん、上手く治るか心配だったんですが、治って良かったです。でも、もしかすると少し後遺症が残るかもしれません…」
「それは、大したことではない。命が助かっただけで感謝です。本当にありがとう」
父さんにお礼を言われて、倉橋さんが恐縮して固まってしまった。
「では帰るか、杏」
「はい。青藍、気をつけるのよ?銀さん、凛さん、青藍のこと、よろしくお願いします」
「あっ、帰りますか?では皆さん、失礼します!」
父さんが玄関を下りて草履を履くと、母さんに声をかけて外に出た。
母さんも、僕と銀おじさんと凛に声をかけると、皆に軽く頭を下げて外に出る。
二人の後を追いかけて、浅葱も慌ただしく出て行った。
「青藍、事の顛末は後でしろに聞くといい。じゃあな、たまには郷にも帰って来るんだぞ」
父さんが思い出したようにそう言うと、母さんの手を引いて、浅葱に道を照らすように指示をして、門を出て行った。
三人を見送っていると、凛が玄関に降りて来て、僕達に声をかける。
「ほら、青藍と天清くん、倉橋も上がって。ご飯まだでしょ?食べながら話そう」
「あ、俺は帰るわ。青藍くん、傷が痛むようやったら、すぐにウチに来るんやで?ほな皆さん、おやすみなさい」
「あっ、はいっ。倉橋さん、ありがとうございました。おやすみなさい」
手を振って出て行く倉橋さんに、急いで挨拶をする。
凛が、門まで倉橋さんを見送って戻ってくると、僕達の背中を押して上がらせ、玄関の扉をそっと閉めた。
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