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天清が、握った手に力を込める。
僕の手を包む天清の手が、とても温かくて、僕の心の中まで温かくなるようだ。
「青藍?どうしたの?」
「ん…大丈夫だよ…。その時の舜くん、どんなに気持ちだったのかな…って」
「は?一ノ瀬、おまえ優し過ぎ。そいつに二回も傷つけられたんだろ?可哀想だとは思うけど、関係ないおまえを怪我させたことは許せねぇ」
黄色く光る目を吊り上げて、先生が鼻息荒く言う。
「なんであんたが許せないんだよ。それこそ関係ないだろうが」
「真葛、おまえは本当にうるせぇなあ。一ノ瀬は俺の大事な生徒だから許せないんだよ」
「へぇ、じゃあ俺が襲われても怒る?」
「いや、どうでもいい」
「はあっ?ほら見ろ!やっぱり青藍を特別な目で見てるんじゃないかっ!」
「…そうだよ、悪いか。一ノ瀬に何かあったら怒るぐらいには、特別に思っているな…」
「ちっ、変態教師め…」
すぐに言い合いに発展する二人に呆れて、僕は大きな溜息を吐いた。
僕の溜息に、二人が揃って僕を見る。
「せ、青藍っ、ごめんっ。また話止めちゃって…。でも先生が変なこと言うから…っ」
「変なこととは何だ。俺の本心だ」
「あんたっ、まだ…」
「天清、僕は天清が好きだ。今までもこれからもずっと、この気持ちは変わらない。…先生、先生が僕を特別に見てることは知ってたよ。でも先生は、自分の立場を弁えて僕の方に踏み込んでこないから、別にいいかと思ってた。ねぇ先生…、今のままでいてくれる?『僕のことを特別に思ってる』なんて口に出されたら、僕はもう、先生には近寄らないよ」
先生は、テーブルに置いてあったグラスを手に取って、半分程残っていたほうじ茶を一気に飲み干す。小さく息を吐いてグラスをテーブルに戻すと、結露で濡れた掌をジッと見つめた。
「…そうだな。悪ぃ…もう言わない。俺は諦めがいいんだ。ダメだと思ったら、素早く次へと切り替える。今までは、何でもそうやってやって来たんだ…。はあっ…、まさか、こんなにもズルズルと引きずるなんてな…。情けねぇ…」
「別に…情けなくはないよ。一途なのはいいことだと思う。ただ、僕には、どうすることも出来ないから…」
「わかってるって。俺は、一族の中でも特別な白蛇なんだぞ。そんじょそこらの妖じゃない。精神も力も強いんだ。舐めるなよ」
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