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藤隠が、何かを納得したように頷いた。
「なに?」
僕が聞くと、藤隠が凛を見て僕を見る。
「…いや、何となくわかった。心隠は、凛のことを好きだったんだな。だから俺が凛と会った日、心隠の元へ行くと、いつも無反応なのにあんなに反応したんだな、と思って。今日だってそうだ。あんなに喋った心隠は、地下牢に入ってから初めて見た」
「それは、久しぶりに人間に会ったからじゃなくて?だって、いきなり喰らいついたじゃんか」
「…それは、わからない…」
「はぁ…っ、なんだそれ。とにかく凛の腕が食いちぎられなくて良かったよ。ねぇ、これから心隠さんをどうするの?」
「どうもこうも、ずっとここに閉じ込めておく」
「…僕もそうするしかないとは思うけど。でも、今日凛が襲われたことは、銀おじさんには報告するよ。そうしたら、当然天狗の郷にも報告がいく。もしかすると、天狗や妖狐や他の妖族が、心隠さんの処分を要求しに来るかもしれない。実際に、心隠さんに恨みのある人間に、僕は襲われて死にかけたからね。このまま、放っておくわけにはいかないかもしれない」
藤隠が大きく目を見開いて、僕の方へにじり寄った。
「襲われた?人間に?なんで?」
「…その人間は、心隠さんを追い詰めた退魔師の子供だよ。心隠さんに負わされた傷が元で、退魔師は亡くなってしまった。そのせいで、全ての妖を恨んでるんだ。しかも、彼もかなりの力がある。僕は呪を施した刀で斬られたんだ」
「そうだっ!マジで危なかったんだからなっ!青藍は何も悪くないのに、二度も怪我させられたんだからなっ!」
あの時のことを思い出したのか、天清が真っ赤な顔でいきなり大声を出した。
僕が、落ち着くようにと天清の腕に触れると、小刻みに震えている。
「天清…」
僕のことを思ってくれてるのかと天清に声をかけると、天清が振り向いて僕を抱きしめた。
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