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TDL ー清四郎ー
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「清四郎、ちょっといいか?」
仕事中、社長室にノックもなしに入って来るのは俺の知るところ一人しかいない。
「和也、ノックしろ。」
「こんこん。」
「ノックは口で言うもんじゃねぇ、叩くもんだ。」
「まぁ、もう入ってるしいいじゃん(笑)」
はぁ………。
呆れて何も言えねぇ。
「用は??」
「これこれー(笑)」
「ん??」
和也が俺の目の前にピラピラとなびかせながら見せてきたのは、チケットのようなものだった。
受け取って良く見ると、世界中の誰もが知ってるであろうネズミのキャラクターがプリントされていた。
「秀君に!!!
………って、アキから今朝預かってきた。」
「パークチケット……秀に??」
「ほら、前にさ秀君が水族館ではしゃいだって話してたじゃん??
さすがに水族館とか動物園とかそこらへんの遊園地は…いくら可愛い秀君でもお前との野郎二人組になると…なんか………ねぇ、うん(笑)
だから、夢の国のパークチケット(笑)
貰い物らしいけどね(笑)」
「アキがか??」
「うん。
アイツさー秀君のことホントに弟みたいに思ってるからさ(笑)
秀君が可愛くて仕方ないみたいよ。」
「お前ら二人でいけばいいだろ??」
「俺らは隣のパーク行くから大丈夫です(笑)」
得意気にウインクなんてしてきやがる和也を適当にあしらいつつ、もう一度チケットを見つめた。
秀が水族館ではしゃいだのは俺と別れる前だから、10年前か。
そういえばあの頃、水族館も動物園も遊園地も行ったことがないと、肩を落としながら寂しそうに言っていた。
それを和也に話したことは覚えてないが。
そもそも、夢の国だって野郎二人で行くってどーなんだよ。
仮にも俺たちはあの一件で少なからずテレビに顔を出した。
その二人組が夢の国って………。
「言っとくけど、行くか行かないかは秀君が決めるんだからなー。
お前じゃないぞー(笑)
……って、アキが言ってた。」
アキらしいな(笑)
「わかってるよ。
多分、アイツなら飛んで喜ぶだろーな。」
「ホントか??
それならアキも喜ぶよ(笑)」
「アキにお礼言っておいてくれ。
また、うちに飲みに来いって。」
「わーい、楽しみにしとく(笑)」
「お前じゃねぇよ、アキだよ、アキ。」
「へいへい。」
「………ってことで、アキから。」
仕事が終わって家に飛んでかえり料理を作る秀に見せると、秀の目は一気にキラキラと子供のように輝いた。
そう、あの水族館のときのように。
「わ、わ、わ………すげ………これ、いいの??」
ほら、テンパってる。
可愛い。
「あぁ。
アキがもらったらしいが、アイツらは隣のパークに行くんだと。」
「へぇ……初めて………。」
「だろうな。」
「………。」
「どうした??」
つい、今まで目をキラキラさせていた秀の顔が突然曇りだす。
まぁ考えていることはだいたいわかる。
水族館のときのように『男同士で』とか、『清四郎(おれ)が嫌じゃないか』とか……大方そんなところだろう。
「…………。」
一人でぐるぐると考えていることだろう。
「俺は、お前が行きたいって思ってるなら行く。
男同士で恥ずかしいとか、テレビに顔が映ったから今はあんまり外に行きたくないって言うならそれでもかまわない。
お前が行きたいか、どうか。」
俯いて考え込んでいた秀が、難しそうな顔をして俺を見上げた。
まだ俺に遠慮して素直に行きたいと言えなさそうだ。
そんな秀をゆっくりぎゅっと抱く。
「秀……ここは甘えていいところだぞ。」
チュッとおでこに唇を当てて、ゆっくり体を離す。
不安げに俺を見つめる秀にしっかりと目を合わせてやる。
「い、きたい…………。
行ってもいい??」
「よし、夢の国デートだな(笑)」
「うん///」
そして、1ヶ月後の平日ど真ん中の水曜日。
俺たちは夢の国へ。
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