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格好良すぎだろ
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俺たちは、シャワールームから自分たちの部屋へと戻った。
服は大部屋に置いてきたままになっていたので、裸のまま、あの狭い部屋へ楓と帰ってゆく。
部屋にはベッドくらいしかないので、俺たちはベッドに座って、何をするでもなく、これからやらされる奴隷研修というものが始まるのをじっと待っていた。
俺はなんとか少しの間だけでも、奴隷という身分を忘れたくて、思いついたことをとりあえず口にだす。
「俺、結構バンドとか好きでさ、最近はempty roomっていうバンドいいなって思ってて、いつかライブとか行きたいって思ってて、あっファンの間ではエンルーって呼んでんだけど、そのエンルーのボーカルがさ…」
「優人、大丈夫だから。」
「…………。」
俺はすぐ隣にいる楓の顔を見る。
少しだけ楓の方が背が高く、男らしい鎖骨や、首に浮き出た血管が目に入った。
俺も男なのに、楓が男らしく、かっこよく見えて、その肩に寄り掛かりたくなってしまう。
「……なんで、そんなかっこいいんだよ…。」
「えっ、なんだって?」
思わずぼそっと出てしまった言葉に、慌てて口を押さえる。
「っなんでもない!」
そして慌てて訂正をするがもう遅い。
楓はニヤニヤして、鏡に映る自分の顔を見るように俺へとぐっと近寄って、俺の目の中を覗く。
「俺そんなに格好良かったのか。ふーん、そうかー。」
「うるせえっ!」
俺はふいっと顔を隠すようにそっぽを向く。
思ったことそのまま口に出すとか、俺バカすぎだろ!
「こっち見ろよ、なあ。」
楓が俺の肩を揺さ振りながら、そう言う。
「っいいからほっとけよ!」
「クククっっハハハハ!!!テンパりすぎだろ!優人面白すぎ!!」
小さな部屋の中に楓の笑い声が響く。
「そんな爆笑しなくてもいいだろ!!!一応……その……褒めてんだし!!!」
俺は恥ずかしくて顔を背けたのも忘れて、本能のままに勢いよく楓の方へ振り向いて怒鳴る。
視線の先には、お腹を抱えて涙を流すほど大笑いしている楓がいる。
「はあ、おっかしい。腹いてぇー。……あっ、やっとこっち向いた。……おい、そんな拗ねんなって。顔まん丸なってんぞ。」
言うつもりは全くなかったけど、褒めたんだからそんなに大笑いしなくても、と俺は完全に拗ねて頬を膨らました。
すると突然その俺の頬を
パンっ!
と楓がニヤニヤしながら両手で叩いた。
その衝撃で、口から空気が勢いよく飛び出し
ブッっっ!
という音が、俺の口からでた。
「ハハハハっっ!!!やべぇ、うけるっ!」
それを見て楓がまた大笑いをする。
「くそっ!」
俺は笑い転げている楓のお腹へ突進すると、脇腹に手をのばし全力でくすぐった。
「ハハっおい、やめろってフフハハハ!!」
楓が笑いながら俺の頭をぐっと押して抵抗してくるが、俺も負けじとくすぐり続ける。
「ハハハ、仕返しだ!」
そうやっている内に、俺も笑いが止まらなくなって2人して笑い転げた。
「……はあ、笑った、笑った。」
しばやくしてやっと落ち着くと、楓が俺の肩に手を回してぐっと自分の方に寄せながらまた話を始めた。
「……最初に楓が笑うからこんなことになったんだぞ。」
「いや、これはお前が悪いだろ。いきなり俺のこと格好いいとか言い出して、クククっッ一人でテンパってるから。おかしくてっフフッやべぇ、思い出したらまた笑えてくる。」
「っもう良いから!!」
すると楓は俺の頭の上に自分の頬をこてんと乗せた。
「でも優人がちょっと元気になって良かった。」
「……えっと……」
突然の楓のイケメンモードに俺は戸惑ってまたあたふたしてしまう。
その俺の動きを落ち着かせるかのように、楓は肩に触れている手にぐっと力を込めてさらに自分の方へ俺の体を寄せる。
もうすき間が1ミリもないくらいに。
「大丈夫だから、なにかあったら俺が守るから。」
「……。」
…………なんだよ、それ。
格好良すぎだろ。
……今度こそ、絶対に言ってやらねえけど。
朝のまだ瑞々しい窓からの光が徐々に暖かみをそえていく。
部屋に差し込む太陽光がまぶしいくらいだ。
まったりとした時間がそこに流れる。
けれど、それは飛行機雲のように一瞬で消えてしまう。
バタンっ!!
俺は、いきなり開いた扉の音にビクッとなる。
楓は大丈夫だと言うように、小さく回した手で俺を腕をさすった。
おずおずと扉の方を見ると、そこに立っていたのは花見と山口だった。
2人はどしどしと俺たちの微睡んだ空間の中へ入ってきた。
「へえー、君たちもうそんなの仲良くなったんだ?」
「……っ!」
花見に言われると、自分たちが見世物になったような気分になる。
「それでは奴隷研修を始めるぞ。……お前達、今から互いのちんこを手で擦れ。先に逝った方に罰を与える。」
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