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出逢い
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「いってぇ······」
この様子じゃきっと折れてるな。日も暮れてきたし、あいつ心配してんだろうな。
暗くなってカラスが鳴き出した空を見ると森の不気味さが増す。
早く帰らねぇと。
折れた足を固定するための木を探していると、ガサガサと草を揺らす音がした。
やばい·····熊か?
体勢を低くして木の幹に隠れ息を殺す。
物音が近づいてくるとだんだん歌声の様なものも聞こえてきた。
······人間?こんなところに?
しばらく様子を見ていると歌声はかなり近づいてきて「きーのこきのこ······あ、あった!」とどうやらキノコを探しているらしい声がはっきり聞こえた。
声の主を探しても周りは草木ばかりで姿が見えない。
·····物の怪の類いか·····?
声はもうほんの数メートル先から聞こえる。
もう一度姿を探そうと身を乗り出した瞬間、隠れていた木の死角からバッと何かが飛び出した。
「!?」
「あった!きー········のこ····」
木の根元に生えていたキノコを採った少年が顔を上げて笑顔を固まらせた。
深くかぶったフードの中から覗く白い髪。まるで発光しているかのように綺麗な色が混ざり合って輝く瞳。
それはまるで、おとぎ話にでてくる魔法使いそのものだった。
今日見たこの少年の目の色は、きっと死ぬまで忘れない。
それほど、今まで見てきたどんなものより綺麗だと、そう思ったんだ。
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