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昔の話 2
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腕を掴まれてどかっと床に押さえつけられる。
「やだ!放して!!」
パチッと、小さく火花の様な静電気が起こった。
「ああ?そんな弱っちい静電気じゃ痒くもねえんだよ」
男の大きな手が右目を覆うように現れたかと思うと、
ぐりゅ
と躊躇なく右の眼球を抉りとった。
「あああああああああ痛い痛い痛い痛い!」
パチパチッと静電気が飛んでも男には微塵も効いてないらしく次は左の眼球に触れた時、突然苦しみだして口から血を吐き床にドサッと倒れてしまった。
「····え······?」
「おい、なんだ、何が起こった!」
「こいつがやったのか!?」
「ち、ちが······っ、俺じゃな····」
今度は俺に掴みかかろうとした男が急に火だるまになって、その隣にいた男も心臓を抑えて崩れ落ちてしまった。
あ······これ·······。
バッとお母さんの方を向くと、お母さんが、身体を引きずって男達に向かって腕を伸ばしていた。
お母さんまだ生きてた。まだ死んでなかった!
男達が全員倒れてしまうとお母さんは腕を下ろした。
「お母さん!」
痛む右目なんか放っておいてお母さんに駆け寄る。
「待ってて、すぐ傷を塞ぐから」
幸い治癒魔法だけは得意で、よく森に出て傷ついた動物たちを治してあげるのが密かな趣味だった。
「·····あなた·····治癒魔法、使えたのね······すごいじゃない」
「待ってまだ喋らないで····っ傷が開いちゃう」
ヒューヒューと苦しそうに呼吸するお母さんを見て涙がボロボロと溢れる。
俺がもっと魔法が使えてたらお母さんを助けられたかもしれないのに。違う、今はお母さんを早く助けないと。肺に穴があいてしまってるから肺から先に治した方が·······でも出血が酷いお腹から先にした方がいいかもしれない······早く、早くしないと。
涙でお母さんの顔が良く見えない。
治しても治しても治癒スピードが出血に追いつかない。
なんで······なんで·······っ。
「ごめんね······イズミ······」
「え······?お母さん?お母さん!」
お母さんが俺の呼びかけに応えることは、もう二度となかった。
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