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ずっと変わりません!
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青峰とテッちゃんが抱き合っているのを、見ているのが辛かった。
胸が張り裂けそうで、痛い。
テッちゃんが青峰の頭を撫でて、愛おしそうに微笑んだ。
瞬間、心が砕ける音がした。
やっぱり、テッちゃんが好きなのは青峰なんじゃないか?
テッちゃんが俺を好きだと言ってくれた。
そのことを疑ってるわけじゃない。
けど、やっぱり、あの二人の絆は強くて固くて。
俺なんか、太刀打ちできるわけねぇじゃん。
「俺、帰るわ。あとは二人でよろしくやってれば?」
自然と、その言葉が出ていた。
言ってて自分でも驚くくらいに、冷たくて嫌味な言い方。
「え……?」
ほら、テッちゃんも驚いた顔してる。
しかも、ちょっと傷ついた顔してんじゃん。
あ?、もう本当にやだ。
俺、いつからこんな嫌な奴になったっけ?
「おい、高尾。どう言う意味だよ」
青峰もキレかけてる。
そりゃそうか。
せっかくの再会を、こんな険悪なムードにしちゃったしね。
「べっつに?。ただ、せっかくの再会を邪魔しちゃ悪いじゃん? だから、お邪魔虫の俺は帰りま?す」
あ、やばい。
泣きそうだわ。
「高尾くん……?」
テッちゃんはまだ困惑気味。
「じゃ?な?」
急いで手を振り身を翻す。
けど、そんときちょっと涙が零れた。
「高尾くん!」
テッちゃんの呼び止める声が聞こえた。
けど俺は耐えきれなくて、走り出していた。
情けないとは自分でも思う。
だって、三十路の男がこんなことで泣いて、拗ねてる。
おまけにそんな自分に嫌悪感とか抱いちゃってさ。
ホント、情けない。
けどさ。
恋とか、
愛とか、
そういった恋愛に関することはさ、
誰がどう言おうが、
誰がどう思おうが、
年齢とか性別とか関係ないんだわ。
いくつになっても嫉妬はするし、寂しい気持ちも減らない。
愛しい人は独り占めしたいし、誰にも取られたくなんかない。
青峰とテッちゃんが浮気してたわけじゃないし、これは俺の勝手な嫉妬ってわかってる。
けど、恋人のことになると、人は余裕なくしちまう。
悪い方にしか考えらんなくて、
辛くて、
苦しくて、
自分で自分を傷つけてしまう。
そして、それは相手にも伝わって、相手も傷つける。
あー、てことは、俺はテッちゃんを傷つけたんだな。
足止まんない。
いっそこのまま消えたいかも。
でも、それはテッちゃんとの約束を破ることになっちゃうな。
「高尾くん!」
後ろで声がした。
その瞬間、ズサッという音がする。
それに、自然と足が止まった。
振り返ると、テッちゃんが転んでた。
「高尾くん、行かないで……」
「……っ、テッちゃんっ!」
ぐちゃぐちゃな顔で泣くテッちゃんに駆け寄る。
泣いてるテッちゃんの顔は、すっげぇ見てて苦しくなる。
「テッちゃん……。大丈夫か?」
腕を掴み、起こす。
「どうして、泣いてるんですか?」
「それはテッちゃんだろ?」
「高尾くんだって泣いてます」
テッちゃんに頬を触られた。
その手に自分の手を合わせる。
確かに、俺は泣いてた。
「急にどうしたんですか?」
「……取られるかもって、思った」
「取られる?」
「テッちゃんのこと、疑ってるわけじゃないよ? けど、青峰はテッちゃんの元彼じゃん。青峰がテッちゃんを諦めてなくて、本気で取り戻そうとしたら、きっと俺は勝てないなぁ、とか。二人の間になんて入れないなぁ、とか。いろいろ考えたら見てられなくなっちゃってさ」
「大丈夫ですと言ったでしょう?」
「それはそうだけど……」
不安が拭いされない俺の両頬をテッちゃんは包むと、俺の唇にそっと自分のそれを重ねた。
茫然とする俺に、テッちゃんはいう。
「僕が好きなのは高尾くんです! それはもう、ずっと変わりません! わかりましたか?」
「………………はい」
「わかったならそれでいいです」
頷いて満足しているテッちゃん。
俺は茫然としていたけど、その姿を見て笑った。
そして、テッちゃんも笑う。
少しの間二人で笑いあっていると、テッちゃんがはっとした顔をした。
「青峰くん、置いて来ちゃいました」
「あ……」
すっかり忘れてた。
「まぁ、もう帰ってるっしょ。後日でいいんじゃね?」
「………………そうですね」
一応確認したら、やっぱり青峰はいなかった。
帰りに、迷惑をかけたからとバニラシェイクを奢らされた訳だが。
三十路のおっさん、絶賛青春中ってね。
楽しい毎日が続いてる。
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