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プロローグ
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────ああ、神さま。
俺がいけなかったのでしょうか。
高校受験が上手くいって、中学を卒業したあと、勉強から解放された爽快感のまま友達と夜遅くまで遊んだからだろうか。
夜、最寄り駅から歩いていく途中で違和感を覚えた。
夜の10時にしては騒がしい住宅街の様子。
俺のすぐ横を通りすぎていったのは、けたたましいサイレンを鳴らした消防車。
──何?この騒ぎ
──なんかあそこのお宅の、ほら、誰だったかしら
──片山さん?
──そう、その家が…
様子を見に外に出てきたおばさんたちの会話が耳に入ったとき、俺の足が止まった。
はは。そんな、まさか、
再び歩みを進めた俺の足は自然と速くなる。
息も、心臓も、どんどん跳ね上がってくる。
様子を伺うようによそよそしく心配そうな顔を浮かべる人々を追い越す。
いつも目に入る変な形の木が後ろに流れていく。
家に近づくにつれて身体が火照ってくる気がするのはきっと俺が走ってるからで、
家に近づくにつれて騒ぎが大きくなっている気がするのはきっと俺が走ってるから速くなってしまった心臓の音。
プツン
何かが切れる音を俺は確かに聞いた。
────ああ、神さま。
やっとたどり着いた家は、ごうごうと燃え盛った光り輝くオレンジに包まれていた。
その夜を明るく照らす美しい光景が、
俺──片山 隆一の目に焼き付いて離れなかった。
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