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企画
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「「クリスマスフェア?」」
タクミと俺は口を合わせて言った。
「クリスマス限定のメニューを出すんです。私、色々考えてきて…」
取り敢えず、結婚報告じゃなくてホッとした。
店のイベントの企画か。
初めてだな、こういうの。
「柏原さん。仮にやるとして、宣伝はどうするんだい。
僕はそういうの苦手でね」
店長は少し心配気味だ。
柏原さんの意見は、店にとってプラスなものだ。
しかし、あまり現実的ではない。
なんて言ったって、クリスマスまで後10日しかない。
「そう言う時は、SNSです!!!
タクミさんの写真上げたら、絶対客増えますよ」
「俺は客寄せパンダじゃねえよ!絶対嫌だ……!!」
タクミは断固拒否している。
当たり前だ。
容姿にコンプレックスを抱くタクミの事もよく考えた方がいい。
柏原さんはクルッと目線を俺に向け、言い放った。
「多田さんは髪の毛何とかして、その酷い隈直してください」
……まさか。
「勿論、多田さんも写真撮りますから」
「なんで俺まで……」
タクミは訴えるような目線を投げてくる。
やめろ!そんな目で俺を見るな!
「やるんですか、やらないんですか」
「や、やりま〜す……」
俺も断りたいのは山々だが、店のためには仕方ない。
俺やタクミのような犠牲も必要だ。
というのは建前で、柏原さんが怖くて逆らえないだけだった。
「多田さん、素材はいいのに勿体ないって思ってたんですよね。」
「もし、SNSのフォロワーがあと3日で1000人超えたらクリスマスフェア必ずやりましょう」
「店長も私も写真撮りますから。従業員の顔を知ってもらうのも必要な事だと思って頑張って下さい」
「実は私、ここのバイト始めてからこういうのやりたいって思ってて、メニューだって何ヶ月も研究したんですから!!」
柏原さんは今までになく、熱気に溢れていた。
最初は乗り気ではなかった店長も、彼女の熱意に触れて前向きな態度に変わった。
タクミも文句を言いながらも、彼女に何をすればいいのか聞いている。
俺は盛り上がる雰囲気の中で、一人ポツンと佇んでいた。
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