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心の片隅で
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イベント3日前の深夜、閉店ぎりぎりのスーパーで店の材料を買った。
いつもの材料だけでなく、新メニューの材料も買ったので、とても荷物が重くなった。
いつも両手で事足りるけど、こんな重い荷物運べっかなぁ…。
自転車だったら良かったが、今日は歩いてきてしまった。
頭を悩ませていると、幸運なことに前から息を切らしたタクミが走ってきた。
「はぁっ…はぁっ!…俺手伝うっす!」
「うわ、助かるよ〜!こっちのやつ持ってくれ。」
「分かった。」
タクミは重い荷物をヒョイっと持ち上げた。
その身のこなしに、力強さを感じた。
「タクミは力持ちだなぁ。」
「そっすか?まぁ、一応筋トレ毎日してるから。」
「筋トレかあ…。俺もやろうかなぁ。最近疲れやすいんだよな。」
まぁ、俺が筋トレ続くような人間では無いことは充分自覚しているが。
たわいも無い話をしながら歩いていたら、あっという間に店に着いた。
「深夜なのに、悪いな。」
「俺、翔の監視役っすから。」
「ああ…!!そうだ、忙しくてスッカリ忘れてたよ。アハハ…。」
………今アイツがここにいたら、もっと賑やかだっただろうな。
snsに投稿する写真も、アイツがタクミと載っていたらもっと話題になっただろう。
「…う」
……26日に帰ってくるって言ってたよな。
「おい、翔。」
タクミの声が俺を現実へと引き戻した。
一体なに考えてんだ、俺。
「あっ、ごめん。ボーッとしてた。」
「………兄貴の事でも考えてた?」
「ゴホッ……!!……ち!違う、違う。イベントの事考えてた。結構客来るだろうなって思って。」
図星を突かれて、派手にむせてしまった。
するとタクミは急に意のある表情で、俺を見つめた。
「タクミ…?」
怒っているのだろうか。
こんな真剣な眼差し、初めてだった。
「……………俺、翔に言いたいことがある。
イベント終わった後、店に残ってて欲しい。」
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