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タクミ
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「兄貴…、今までどこで何してたんすか。翔はどこっすか」
「タクミ…」
何日か振りにタクミと会った。
待ち合わせは翔ちゃんの家。
洋服や諸々を持ち出すためでもあった。
眉を潜めたタクミには凄みがあった。
連絡を無視していたのも、翔ちゃんが店に来ないのも、色々疑問が溜まっているのだろう。
「ずっと店に来ないし、翔の家行っても留守だし、兄貴の家行こうとしても住所知らないし…」
「……」
「翔は、翔は今どこにいるんすか」
「…僕の家」
するとタクミは溜息をついて、膝を抱えた。
力が抜けたように。
「はぁ…無事なんすね?」
「まぁ、一応ね」
「一応って…。店長や柏原のやつもどんだけ心配してたと思ってんすか!!兄貴のそういう1人で抱えようとする所、まじディスリスペクト!!」
「でぃ…」
「でもまじ無事で良かったっす」
タクミは本当に優しい奴だ。
怒った素ぶりを見せるのも、不安の裏返しだ。
普段は強がっているけど、本当は誰より臆病な奴だから。
心配掛けてしまった。
「心配掛けてごめん」
「兄貴…謝るくらいなら本当の事言ってください。翔に何かあったんすよね」
もう誤魔化せないな。
真っ直ぐ見つめる瞳は、一瞬でも迷う俺の気持ちを逃がそうとはしなかった。
誰にも話したことの無い、本当の話。
第三者に話すのは、これが初めてだ。
「……うん。今から話す内容は、誰にも言わないで欲しい。訊かれても、誤魔化してくれ」
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