アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
最低美形×不細工より平凡 2
-
苦い2
-----
上伊田とは高校からの付き合いだ。
3年の時にクラスが一緒になり隣の席で、1番後ろの窓際だった。
大当たりの席になり当初は喜んだが、皆に慕われる上伊田の隣はキツかった。
休み時間は上伊田の席周りに人が集まるため気まずくなり、教室から出なくちゃ行けない。友達も居ない為、ひたすら階段辺りをうろついた。
チャイムが鳴る前に戻ると俺の席に座った奴が退けてないし、輪が出来ているため自分の席にたどり着けない。
かと言ってチャイムが鳴りそうなのに、教室を出て行くのも変だし…と思いながら、掃除用具入れの前に立っていた。
しかし人間は成長するもので、奴らが退けたであろうタイミングで、教室に帰れるようになった。
そんなある日、上伊田に授業中シャーペンで手の甲を刺された。
食い込んだシャー芯と、突然の上伊田の奇行に戸惑い隣を向くと上伊田と目があった。
綺麗な顔を歪ませ笑う上伊田に恐怖を覚えた。
じわじわと強くなる痛みと恐ろしい顔をした上伊田から目が離せず、ポロりと泣いてしまった。
すると上伊田は一瞬驚いた顔をして、シャーペンを退かしてくれた。
やっと外せた視線を戻し、目を拭った。
ギュッと不自然に凹み、少し黒くなった皮膚を撫でる。
すると、上伊田が俺のノートに「放課後残れ」と書いてきた。
何も反応出来ずにいると、撫でていた傷を爪で引っ掻いてきた。
まるで、念押しする様な行為に頷くしか無かった。
ーーーーー
グランドから野球部の声が聞こえる。
静まりかえったトイレで項垂れていた。
最初はずっと教室で待っていたが、急に尿意を感じトイレに来た。
出した途端に何だか怖くなってしまい、個室に入った。が、足が竦み中々出る事が出来ない。早くしなければ、上伊田が来てまう。焦れば焦る程覚悟が決まらなかった。
冷え込むトイレで横井は汗びっしょりになっていた。
コツコツコツ
足音が聞こえる。
廊下を歩く足音はトイレに近づいている様だ。背中がゾワゾワする。
「よーこーい。」
上伊田の声が聞こえる。
ごくり。
生唾を飲み込み、横井は目を強く瞑った。
「ダメだよ横井」
「約束は守らなきゃ」
「………………」
足音が横井のいる個室に近づく。
「教室で待ってろって言ったよ、ナ''ぁ??」
カ"ン''ッ!!
個室全体が揺れ、金具の歪む音がした。
「ヒッ!!」
過呼吸のような荒い息を繰り返す。苦しさを紛らわす様に両手で必死に抑え込む。
冷や汗は脂汗に変わりネトネトと身体に纏わり付き、前髪から汗が滴り落ちた。
「出て来ないと、次は壊すよ」
地を這う様な声が横井の震えを膨張させる。
「いーちぃ…にーぃ……さぁー、」
'カチャ'
震える手でスライド式の鍵を開けた。
「ふふっ…、早く出てきなよ」
ゆっくり扉を開こうとした…が金具が歪んだ扉は引っかかりが出来、開かなかった。
''ガツッ、ガッッ!''
何度か開けようと試みるが開かない。
トイレの個室に閉じ込められたが、内心ホッとする自分がいた。
''ギュリ''ッ!!''っと音が聞こえ、いきなり目の前の扉が倒れてきた。
顔面スレスレで扉が止まり、目を見開いたまま呼吸が止まる。
「ハッァ…ハァッ!」
鼻と口から酸素を吸い込み、やっと目の前の状況が理解できた。
上伊田が扉を外したのだ。
捻り切れた金具が今にも取れそうに揺れている。
上伊田が扉を壁に立て掛けているのを便座に座りながら見ていた。
「「う''あああ''あ''あ''ッ!!」」
気づけば、トイレの個室から走り出していた。
後ろからは、上伊田の声はしない。
唯ただ、あの場に居るのが怖かった。
ヨタヨタする足を何度も立て直し、教室から鞄を持ち出す。
家の鍵、定期、その他全て入っている鞄を取りに来る程は頭は冷静になっていた。
誰も居ない渡り廊下に横井のシューズの音だけが響く。
端にある空教室を通り過ぎようとした瞬間、足が何かに取られ、廊下にダイブした。
顔面を強打し、痛みで身動きが取れないでいると足首を掴まれ空教室に引き摺り込まれた。
鍵をかける音し、カーテンを閉め切った教室は薄暗い。
鼻血の垂れる鼻を抑えながら、ゆっくり起き上がろうとした時、背中を踏みつけられ、顔面を床に叩きつけられた。
切れたのか口の中が血の味がした。
「ウ''ぁ''」
髪の毛を引っ張られ、首が背後に反り返る。
鼻血を拭えず、ダラダラと垂れてくる。
「汚いなぁ」
冷たい声と共に髪を引っ張る力も強くなり、痛みでもがく横井は何度も床に叩きつけられた。
ー
「ねぇ、横井…何で逃げたの?」
「だめじゃん、ご主人様の命令無視しちゃ」
上伊田の膝の上に座らされ、前髪を掴まれ目を合わせられる。
「……ご、ごしゅ、ぅじんさ、っま?」
腫れて麻痺した唇をたどたどしく動かし何とか喋れた。
「そう、俺がご主人様で、横井は奴隷…ううん、俺のペット」
そう言いながら、鼻血のついた手を横井のシャツに擦りつけた。
「最悪…鼻血めっちゃ付いたじゃん」
「逃げたし、お前の鼻血で汚れたし、イライラするからお仕置きね」
そう言われたかと思うと、鳩尾が重く抉られた。
胃が、ギュウゥと縮み胃酸が這い上がってくる。咄嗟に食いしばり、噛み締めた唇から血が滲む。
「明日から宜しくね」
倒れ込む横井を尻目に見ながら、上伊田は去って行った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 9